目次
まえがき
序 章 「ろう者の大学事始め」から「手話による教養大学」へ──日本社会事業大学の挑戦(斉藤くるみ)
1 「日本手話」を学ぶ権利・「日本手話」で学ぶ権利
2 大学教育におけるマイノリティーの価値
第Ⅰ部 「手話による教養大学」はなぜ必要か
第1章 ろう者のための「手話による教養大学」──言語とアイデンティティー(斉藤くるみ)
1 ろうのアイデンティティー
2 ろう文化の中核「日本手話」
3 「手話による教養大学」設立の背景
第2章 リベラルアーツ教育としての「日本手話」とろう文化(斉藤くるみ)
1 キャリア教育としての「日本手話」
2 「日本手話」とリベラルアーツ教育
3 認知的外国語体験
4 第二言語から第一言語への「日本手話」教育
5 学際領域としての日本手話研究
第3章 ろう者が自らの「市民性」を涵養する権利と「日本手話」による教養大学──法律学授業を題材として(田門 浩)
1 教養大学と「市民性」、エンパワメント・公共圏との関わり
2 日本聾啞者の聾啞教育の始まりと聾啞コミュニティーの形成
3 日本聾啞者に対する社会的な抑圧
4 日本聾啞者の公共圏の形成と就学分野及び労働分野でのエンパワメント追求
5 口話法教育の普及と聾啞コミュニティーへの新たな抑圧
6 聾啞コミュニティーにおける公共圏形成の進展と手話の「言語」としての認識
7 戦後の労働分野におけるエンパワメントの追求
8 1960年代後半から1970年代前半における公共圏の変化と労働分野でのエンパワメントのあり方
9 ろう文化宣言と言語分野での新たなエンパワメントのあり方
10 ろう学生に対する教養教育と市民性の涵養のあり方
11 ギャローデット大学での授業の体験
12 日本での法律学授業と市民性の涵養
第4章 アジアの中の「手話による教養大学」(石井靖乃)
1 手話は重要テーマの一つ
2 アジアにおける聴覚障がい者支援
3 途上国における聴覚障がい者支援
4 ベトナムにおけるバイリンガル教育の成功
5 なぜ聴覚障がい者支援か
6 聴覚障がい者大学教育支援の今後
7 手話で教えることの重要性
8 手話の法的認知
9 手話が社会に浸透するために
第Ⅱ部 当事者である講師が語る手話による講義の意義
第5章 ろう・難聴当事者ソーシャルワーカーの養成──その歴史と課題(高山亨太)
1 ソーシャルワークとの出合い
2 ソーシャルワークとは
3 ろうあ者相談員とソーシャルワーカー
4 ギャローデット大学におけるソーシャルワーク教育
5 ソーシャルワーク教育──日本社会事業大学の取り組みから
6 当事者ソーシャルワーカーの意義
第6章 手話で学ぶことの心理学的意味とは(中野聡子)
1 手話で学ぶということ
2 聴覚障がい学生支援=文字通訳でよいのだろうか
3 「外国語副作用」とろう
4 高等教育の手話通訳支援の現状
5 なぜ中間型手話の通訳はわかりにくいのか
6 認知処理様式と手話
7 経験の共有による理解促進
8 直接対話による効果
9 ダイバーシティー促進としての手話による授業
第7章 経済学と手話言語学をろう者の母語で語ること(森 壮也)
1 ろう者のための高等教育のあり方
2 教養科目としての経済学と手話言語学
3 一般教養から遠ざけられてきたろう者
4 経済学や手話言語学の授業の実践から
5 リベラルアーツを学ぶことの大切さと意義
第8章 自然科学と聾啞誌(末森明夫)
1 系譜化
2 生命科学における手話語彙
3 言語系統樹──手話単語と指文字
4 語彙史──聾啞と手話
5 書誌学──松村精一郎および『万国地誌階梯』
6 非文字史料における聾啞表象
7 手話歴史言語学
8 新たな学問の枠組みの構築に向けて
終 章 「手話による教養大学」にみる大学教育の本質(斉藤くるみ)
1 大学教育とダイバーシティー
2 教養教育とマイノリティー
あとがき
索 引