目次
序 章 特別支援教育の「専門性」とはなにか──障がいのある子どもの母親たちの声(東村知子)
1 「専門的な方法」がもたらす困難
2 親の声と教師の声
3 特別支援教育の「方法」と「専門性」
4 支援の3つの視点
5 私たちの願いと本書の構成
6 おわりに──ごく普通の人間についての理解を問い返す
第Ⅰ部 子どもという存在からのメッセージ──特別支援学校小学部の事例から
第1章 激しい自傷行為を音楽で緩和する(高橋 浩)
1 はじめに
2 Aくんについて
3 落ち着けない日が続く──第1期(4年生4月)
4 Aくんが落ち着いて過ごせるための試行錯誤──第2期(4年生5〜6月)
5 あえてかかわらない──第3期(4年生7〜9月)
6 落ち着いていられることが多くなる──第4期(4年生10〜12月)
7 暗室から廊下へ、そしてみんなの中へ──第5期(4年生1〜3月)
8 おわりに──自傷行為をしなくてもすむようなコミュニケーションを
第2章 泣き叫びの激しい子どもに安心感を育む(高橋 浩)
1 はじめに
2 Bくんについて
3 バスの中での叫び声
4 3学期から始まった学校内での混乱
5 Bくんが泣き叫ぶときの原因と理由
6 解決へ向けての仮説と対応
7 具体的に取り組んだ内容
8 Bくんに見られてきた変化
9 おわりに──「いま子どもにとって必要な対応は何か」を考える
第3章 名前を呼ばれて「ハイ」と応じるようになるまで(後藤真吾)
1 はじめに
2 入学当初のCくんの様子
3 入学までの様子──保育園、療育教室の引き継ぎ資料より
4 Cくんを知るための取り組み
5 私たちが出会ったCくんの様子
6 取り組みを進めるうえで大切にしたこと
7 1年を終えてのCくんの変化
8 おわりに──子どもの将来像をどう描くか
第4章 「お母さん、明日はこんな勉強をするんだよ」──相手に伝えようとする力の育ち(大城徳子・後藤真吾)
1 はじめに
2 Dくんについて
3 大人からの働きかけを受け止める──1・2年生
4 絵や写真カードによる指導と発音指導──3・4年生
5 音声やジェスチャーでやりとりする──5・6年生
6 おわりに──相手に伝えようとする力の育ち
第5章 第I部のまとめと考察──子どもの「パニック」をどう受け止めるか(麻生 武)
1 はじめに
2 子ども自身に委ねる
3 「パニック」の意味を読む
4 学校空間に誘う
5 待ち受けるさまざまな困難
6 「いま・ここ」でなされるコミュニケーション
第Ⅱ部 子どもたちにとって教員はどのような存在なのか
──特別支援学校小学部・高等部、特別支援学級の事例から
第6章 「イヤイヤ」から“ピース”へ──人とのかかわりを楽しめる子どもに(後藤真吾)
1 はじめに
2 入学までの家庭での様子
3 体験入学および一日入学の様子
4 保育園での様子──引き継ぎ資料からの抜粋
5 養護学校入学当初の様子
6 学校での取り組みの概要
7 Eちゃんの変化をうながしたもの
8 おわりに──子どもの変化を家庭と確認し合う
第7章 “ここが居場所だよ”──学校全体での支援体制づくり(山口有子)
1 はじめに
2 Fちゃんについて
3 支援の目標と計画
4 Fちゃん自身の変化
5 周囲の人々や環境の変化──Fちゃんとともに生きる
6 おわりに──学校全体での支援体制づくり
第8章 「ぼく、友だちと何を話していいか、わからないんだ」──周りの生徒との関係の中に絡め取られるまで(大城徳子)
1 はじめに
2 家族構成と生育歴
3 高等部1年生のころの様子
4 Gさんとの出会い──高等部2年生・1学期
5 「友だちがほしいんだ!」
6 「喫茶G」開店!──2年生2・3学期
7 「え? 怒ってるの?」──3年生1学期
8 おわりに──周りの生徒との関係の中で
第9章 第Ⅱ部のまとめと考察──子どもという存在にどう向き合うか(東村知子)
1 かかわりの工夫と特徴
2 かかわりの意味とその背景
3 子どもの変化から考える
4 コミュニケーションと他者性──実践からの示唆
第Ⅲ部 特別支援教育をめぐる4つの「8」
第10章 よい先生/悪い先生とは
1 通常学級と特別支援学校は何が違うか
2 学校のルールと教員による考え方の違い
3 親と教員のずれをどう解消するか
4 必要なのは「時間」と「余裕」
第11章 特別支援教育では何を育てるべきか
1 人と一緒にいられる力
2 数や言葉をどう教えるか
3 生きる力につながる学びとは
第12章 特別支援教育はインクルージョンに反するか
1 特別支援学校の存在意義と課題
2 制度に頼らないインクルージョンの可能性
第13章 障がいの軽い子どもたちを特別支援学校でどう支援するか
1 自己認識を深めるためのかかわり
2 乳幼児期に必要な体験をやり直す
終 章 専門家とマニュアルを越えて──子どもの不思議に向き合う(麻生 武)
1 特別支援教育の「専門家」?
2 専門家とは何か
3 教育現場にも「専門家」は存在するか
4 教育の現場に「専門家」が不要な2つの理由
5 目の前の子どもからの出発