紹介
ウィーンには多様な民族が住み、自分たちの民族性をそこに持ち込み統合してともいうべきものを作り上げた。また、すぐれた人物がウィーンに出て活躍し、ウィーンの知的生活を豊かにした。ボヘミア・モラヴィアからはフロイト、フッサール、マーラー、ケルゼン、シュンペーターなど、ハンガリーからはヘルツル、ヘルツカなどである。これらの地域に独自の思想を探ってこそも明確になる。第2巻はとくにボヘミア、ハンガリーに照明を当てる。ボヘミアやハンガリーをも視野に収めてハーブスブルク帝国文化の全体像を描くのは、本書が初の試みである。本書が描き出そうとしているものは、まさにこの文化的複合体としての帝国の統一像に他ならない。それを、副題にもある通り、3月革命の起こった1848年から、オーストリアがナチス・ドイツに併合される1938年までの約1世紀間にわたって概観しようとしたのである。
目次
第4部 ボヘミアの改革派カトリシズム(プラハのマルキオン派
ライプニツの調和の世界
フランツ・ブレンターノと門弟たち
ライプニツ思想の末裔
貴族の平和運動家たち
社会ダーウィニズム-ライプニツの伝統の崩壊)
第5部 ハンガリーの幻想信仰(ハンガリーの社会と知識人
ハンガリーの生んだユートピアンたち
知識社会学-ハンガリー人の常識から生まれた学問
精神分析学者と映画評論家)
第6部 現代を予言した人々(陽気な黙示録)