目次
はじめに 千葉俊二
Ⅰ 物語の力
座談会 物語の力―上海の谷崎潤一郎 千葉俊二×銭暁波×日高佳紀×秦剛
物語る力―谷崎潤一郎の物語方法 千葉俊二
文学モデルとしての推理小説―谷崎潤一郎の場合 アンヌ・バヤール=坂井
Ⅱ 中国体験と物語
「お伽噺」としての谷崎文学―「オリエンタリズム」批判再考 清水良典
陰翳礼讃の端緒としての「西湖の月」 山口政幸
十年一覚揚州夢―谷崎潤一郎「鶴唳」論 林茜茜
「隠逸思想」に隠れる分身の物語―『鶴唳』論 銭暁波
谷崎潤一郎と田漢―書物・映画・翻訳を媒介とした出会いと交流 秦剛
Ⅲ 物語の変容―中国旅行前後
『嘆きの門』から『痴人の愛』へ―谷崎潤一郎・中国旅行前後の都市表象の変容 日高佳紀
都市空間の物語―横浜と『痴人の愛』 ルイーザ・ビエナーティ
「卍」の幾何学 スティーヴン・リジリー
『アラビアン・ナイト』から〈歌〉へ―「蓼喰ふ蟲」の成立前後 細川光洋
放浪するプリンスたちと毀損された物語―〈話の筋〉論争から「谷崎源氏」、そして村上春樹「海辺のカフカ」へ 西野厚志
Ⅳ 可能性としての物語
谷崎潤一郎における異界憧憬 明里千章
谷崎文学における「盲目」と美学の変貌―『春琴抄』を中心に 鄒波
表象空間としてのふるさと―谷崎が見た昭和初期の東京・『芸談』を視座として
フォッラコ・ガラ マリア
愛を分かち合う―『夢の浮橋』における非オイディプス
ジョルジョ・アミトラーノ
谷崎潤一郎『人魚の嘆き』の刊行について 田鎖数馬
あとがき 日高佳紀
特別寄稿
熱血青年から中国近代憲政思想と実践の先駆者へ―宋教仁の東京歳月への一考察 徐静波