目次
第1章 不当な判例変更
Ⅰ 平成26年大法廷判決(参)の投票価値の較差に関する二段階の判断枠組み(以下、「二段階の判断枠組み」ともいう)は、平成29年大法廷判決(参)によって不当に判例変更されたので、現在もなお、最高裁判所(ただし、大法廷を含む)及び下級審裁判所に対し、判例として拘束力を有す
1 不当な判例変更(その1)
(1)平成26年大法廷判決(参)の「二段階の判断枠組み」は、現在もなお、判例として拘束力を有す
(2)不当な判例変更
(3)「最高裁判所判例解説」平成29.9.27(民事関係)の中の当該記述
(4) 【仮想の議論】とそれに対する反論
2 不当な判例変更(その2)
3 不当な判例変更についての11人の憲法学者の意見
(1)佐藤幸治京都大学名誉教授は、佐藤幸治『憲法訴訟と司法権』286頁(日本評論社、1984年)で、
(2)芦部信喜東京大学名誉教授は、「合憲限定解釈と判例変更の限界」ジュリストNo.536 1973.6 53~54頁で、
(3)伊藤正己東京大学名誉教授・元最高裁判事は、「判例の変更」公法研究第22号20~21頁(有斐閣、1960年)で、
(4)長谷部恭男東京大学教授(当時)は、長谷部恭男『憲法 第7版』449~450頁(新世社、2018年)で、
(5)高橋一修法政大学教授は、「先例拘束性と憲法判例の変更」芦部信喜編『講座 憲法訴訟(第3巻)』173~176頁(有斐閣、1987年)で、
(6)松井茂記大阪大学教授は、「憲法判例の法源性・先例拘束性と憲法判例の変更」樋口陽一編『講座・憲法学 第6巻 権力の分立(2) 』221頁(日本評論社、1995年)で、
(7)浦部法穂神戸大学名誉教授は、『憲法学6《統治機構の基本問題Ⅲ》』56~57頁(有斐閣、1977年)で、
(8)君塚正臣横浜国立大学教授は、「判例の拘束力」横浜法学会第24巻第1号96頁で、
(9)向井久了帝京大学教授は、「155 判例の法源性」339頁(ジュリスト増刊 有斐閣、2008年)で、
(10)青井未帆学習院大学教授は、「130 憲法判例の変更」288~289頁(ジュリスト増刊 有斐閣、2008年)で、
(11)畑博行広島大学名誉教授は、「憲法判例の変更について」公法研究第37号57~58頁(有斐閣、1975年)で、
4 平成29年大法廷判決(参)の敢えて、3年毎の半数改選ルール(憲法46条参照)を再度持ち出して、それを理由に、「参議院議員の選挙における投票価値の平等は、」「二院に係る上記の憲法の趣旨との調和の下に実現さるべきである」との判示は、平成26年大法廷判決(参)の「参議院議員につき任期を6年の長期とし,解散もなく,選挙は3年ごとにその半数について行うことを定めている(46条等)。」こと(すなわち、参院選の3年毎の半数改選のルール)を考慮したうえで、「参議院議員の選挙であること自体から,直ちに投票価値の平等の要請が後退してよいと解すべき理由は見いだし難い。」との判示(ただし、平成24年大法廷判決(参)も同じ)不当な判例変更である
第2章 「合理的期間論」(参)は、憲法98条1項に反するので、憲法98条1項により、「その効力を有しない」
Ⅰ 「合理的期間論」(参)と憲法98条1項
Ⅱ 11人の憲法学者の意見
1 淺野博宜神戸大学教授は、「合理的期間論の可能性」『憲法理論とその展開』169頁(信山社、2017年)で、
2 毛利透京都大学教授は、「憲法訴訟の実践と理解【第9回】-投票価値較差訴訟の現状と課題-」判時2354号140頁で、
3 安念潤司中央大学教授は、「いわゆる定数訴訟について(四)」成蹊法学第27号(1988年)168~169頁で、
4 只野雅人一橋大学教授は、「議員定数不均衡と改正の合理的期間」憲法判例百選Ⅱ325頁で、
5 篠原永明甲南大学教授は、「平成24年衆議院議員選挙における選挙区割り規定の合憲性」法学論叢175書5号(京都大学法学会)125~126頁で、
6 内藤光博専修大学教授は、判例百選Ⅱ[第6版]331頁で、
7 工藤達朗中央大学教は、「衆議院議員選挙と投票価値の平等」判時2838号135頁で、
8 安西文雄九州大学教授は、憲法判例百選Ⅱ〔第6版〕339頁で、
9 武田芳樹山梨学院大学准教授は、「0増5減の改正を経た衆議院小選挙区選出議員の選挙区割規定の合憲性」新・判例解説Watch憲法No.3(日本評論社、2016.10 Vol.19)22頁で、
10 高作正博関西大学教授は、「公職選挙法14条、別表第3の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定の合憲性」判時2265号(判例評論680号6)136頁で、
11 原田一明立教大学教授は、平成30年大法廷判決(衆)について、
第3章 事情判決の法理は、比較衡量に基づく
Ⅰ【要約】「①選挙無効判決が言渡されないことにより被害を被る原告らの不利益(すなわち、正統性を欠く、国会議員および内閣総理大臣の国家権力の行使により、毎日被害を被る原告らの国民の不利益)の大きさ(前者)と、②(選挙無効判決の結果生じ得る)憲法の予定しない事態が出現されることによってもたらされる不都合、その他諸般の事情(後者)との比較衡量により、「選挙が無効か否か」を決する昭和60年大法廷判決(衆)の事情判決の法理によれば、前者の不利益が後者の不利益より、より大なので、本件選挙は無効である
Ⅱ 19人の憲法学者の意見
1 長谷部恭男東京大学教授(当時)は、「投票価値の較差を理由とする選挙無効判決の帰結」法学教室No.380 2012年5月号40~41頁で、
2 藤田宙靖東北大学名誉教授・元最高裁判事は、「『一票の格差訴訟』に関する覚書」法の支配171号87~89頁で、
3 浅野博宜神戸大学教授は、「合理的期間論の可能性」『憲法理論とその展開 浦部法穂先生古稀記念』(信山社、2017年)180~186頁で、
4 山本真敬新潟大学教授は、(山本真敬執筆「第2章 終わらない事情――いつになれば無効になるのか?実際に無効となれば、どうなるのか?」大林啓吾ら編『憲法判例のエニグマ』)(成文堂、2018年)185頁で、
5 芦部信喜東京大学教授は、『人権と憲法訴訟』(有斐閣、1994年)263~265頁で、
6 野中俊彦法政大学名誉教授は、野中俊彦『憲法訴訟の原理と技術』(有斐閣、1995年)381~383頁で、
7 佐藤幸治京都大学教授は、『現代国家と司法権』(有斐閣,1988年)294~295頁で、
8 君塚正臣横浜国立大学大学院教授は、「事情判決の法理」横浜法学第25巻第2号(横浜法学会、2016年)30~31頁で、
9 阿部泰隆神戸大学名誉教授は、ジュリスト1976.7.15(No.617)60頁で、
10 宍戸常壽東京大学教授は、『一票の較差をめぐる「違憲審査のゲーム」』論究ジュリスト2012春48~49頁で、
11 井上典之神戸大学教授は、「定数訴訟における投票価値の平等と最高裁の役割」論研ジュリストSpring 2019 No.29 194~195頁で、
12 今関源成早稲田大学教授は、「参院定数不均衡最高裁判決――最高裁2004年1月14日大法廷判決をめぐって」ジュリストNo.1272(2004.7.15)96~97頁で、
13 赤坂正浩立教大学教授は、『平成25年度重要判例解説』ジュリストNo.144 10頁で、
14 高作正博関西大学教授は、「公職選挙法14条、別表第3・参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定の合憲性」判時2265号(判例評論680号6)136頁で、
15 市川正人立命館大学教授は、『基本講義 憲法』(新世社、2014年)242頁で、
16 吉川和宏東海大学教授は、吉川和弘「平成22年7月に施行された参議院選挙区選出議員選挙の選挙区間の1対5.00の投票価値の不平等が、違憲の問題が生じる程度に達しているとされた事例」判例時報2187号(判例評論654号)152頁で、
17 山岸敬子明治大学教授は、「選挙無効訴訟・事情判決・間接強制」明治大学法科大学院編集19号66、68頁で、
18 南野森九州大学教授は、「一票の格差」法学教室No.427 2016年4月号12~13頁で、
19 松本哲治同志社大学教授は、「投票価値の平等と事前の救済」阪本昌成先生古稀記念論文集『自由の法理』(成文堂、2015年)393~394頁で、
Ⅲ 21個の最高裁大法廷判決の各反対意見、意見、補足意見
第4章 2020年大法廷判決(参)
補遺