目次
まえがき
第1章 干潟はどこで育まれるか―干潟の地形の多様性の整理と検討― (川瀬久美子)
1.はじめに
2.干潟はどのような地形か
3.干潟はどこで育まれるか
干潟の地形形成営力
形成場所による干潟の分類
4.おわりに
第2章 貝類の生息地としての干潟環境 (山下博由)
1.はじめに
2.河口干潟
河口干潟の貝類相の構成
日本本土の河口干潟の貝類相の構成
亜熱帯~熱帯域の河口干潟
温帯域と熱帯域の貝類相の比較
3.潟湖干潟
4.前浜干潟
内湾の前浜干潟
外洋の前浜干潟(砂浜海岸)
5.入江干潟
6.沿岸州干潟
7.礁池干潟
8.干潟環境と貝類相の多様性
第3章 貝類利用からみた島嶼地域の潟文化試論―ベトナム・北部沿岸と沖縄島・羽地内海の比較から― (池口明子)
1.はじめに
2.西太平洋の潟文化論
3.ベトナム・クァンニン省の貝類利用
沿岸環境と漁業
貝類採集の漁具漁法
貝類の流通
貝類の消費
4.沖縄島・羽地内海の貝類利用
沿岸環境と漁業
貝類採集の漁具・漁法
貝類の流通と消費
5.大陸の潟文化・島の潟文化
第4章 沖縄の入浜系塩田の形態―羽地内海,屋我地島~我部塩田遺跡の調査を中心に―(江上幹幸)
1.はじめに
2.沖縄の製塩法と那覇泊の入浜系塩田
沖縄の製塩法
泊潟原塩田の歴史
3.羽地内海我部塩田の調査
伝承・見聞録等に残る羽地内海の製塩
羽地内海に残る製塩跡
屋我地島
湧川周辺(本部半島側)
我部塩田遺跡発掘調査
遺跡の立地と環境
調査に至った経緯
発掘調査
研究成果と意義
4.おわりに
第5章 南サハリン(樺太島)のロックロード:特殊な“干潟”か? (鰺坂哲朗)
1.はじめに
2.“ロックロード”の記述を発見!
3.サハリン南西部の海藻類植生調査
4.ロックロードの成因について
5.Uターンし,ロックロードに接近する対馬暖流
6.ロックロードやラグーナの地形は果たして干潟か?
7.ラグーナの利用
8.サハリン南東部での海藻相調査
9.おわりに
第6章 ホシムシはおいしい (野中健一)
1.はじめに 干潟の小動物食用への注目
2.食用分布への関心
3.ホシムシへの注目
中国・福建省のホシムシ
ベトナム北部のホシムシ
サイスン
ズンダット
フィリピンのホシムシ
捕獲
調理
4.まとめと今後の課題
Chapter7 Biogeography of Tidal Mud Flat and Estuarine Fishes of the Western Pacific including the Indo-Malayan Triangle (Terry J.Donaldson and Robert F.Myers)
1.Introduction
2.Methodological Approach
3.Results
4.Discussion
5.Summary
第7章対訳 インド・マレー三角地帯を含む西太平洋の干潟・河口性魚類の生物地理 (ドナルドソン,T.J.,マイヤーズ,R.F.(関野正志・山下博由 訳))
1.はじめに
2.研究方法
3.結果
4.論議
5.要旨
第8章 失われゆく“漁”の風景―『有明海漁業実況図』にみる干潟・浅海域の漁撈活動― (藤永 豪)
1.はじめに
2.モノカルチャー化が進む有明海の漁業
3.『有明海漁業実況図』に描かれた漁撈活動
『有明海漁業実況図』とは
『有明海漁業実況図』の中の漁撈活動とその特徴
「潟往来の図(原題:潟往来の圖)」
「メカジャとり(原題:免く王志やとり)」
「タコとり(原題:たことり)」
「カニとり(原題:か丹とり)」
「シャッパふみ(原題:志やつ者ふみ)」
「ワラスボかき(原題:王ら春本可き)」
「ムツとり(原題:む津ゝ里)」
「ウミタケねじ(原題:海堂け祢ち)」
「ウナギかき(原題:うなき可幾)」
「つり(原題:徒里)」
「四つ手網(原題:四手阿ミ)」
「シジミかき(原題:志ゝミ可き)」
「カキとり(原題:蠣と里)」
「クラゲ網(原題:久らけ阿ミ)」
「竹はじの図(原題:竹者しの圖)」
「しげ網(原題:志け阿ミ)」
「アミとり(原題:阿みと里)」
「エツ網(原題:ゑ川阿み)」
「ヒラ網(原題:飛ら阿み)」
「げんしきアミ(原題:希ん志き阿ミ)」
「投網(原題:投阿ミ)」
「コチつり(原題:古ち徒里)」
「解読不能(原題:和遍な可し,あるいは,小魚な可し,)か」
4.おわりに―失われゆく有明海の漁撈文化―
第9章 失われた楽園―日本・韓国の大規模干拓と生物相の変化― (佐藤慎一)
1.序論
2.韓国セマングム干拓予定地における調査結果
3.諫早湾における潮受け堤防建設後の底生動物相の変化
4.セマングム干拓と諫早湾干拓における防潮堤完成後の底生生物相と環境変化の比較
第10章 開発は誰のためなのか―韓国セマングムの事例から― (李 善愛)
1.セマングムとは
2.韓国における干潟利用の歴史
3.開発で奪われた漁民の命の海
黄金の畑セマングム
捕貝で支えられたセマングム漁民の暮らし
4.移住者の新天地,深浦港
5.干潟干拓後の漁民の生活
漁業活動の変化
漁民の暮らしの変化
6.政治と開発と環境論争から排除された干潟漁民の生存権
あとがき
索引