紹介
本書は、死んだらどうなるかの話。といってもスピリチュアルな本ではなく、「死」とは何かについて、知の達人橋爪大三郎氏が、宗教社会学の視点から鮮やかに、説明する本。
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生き物はそもそも、すべて死ぬのです。しかし、生き物は、死ぬそのときまで、死ぬと思っていません(たぶん)。人間は違います。うんと小さい子は別として、ちょっと知恵がつくと、みんな死ぬらしい、自分も死ぬだろう、と思うようになります。
では、死んだらどうなるとわかっているのでしょうか。(中略)そう、複雑な社会には宗教というものができるのです。いくつも宗教がある。それは、死んだらどうなるか、の考え方がいくつもあるということです。
これまで人類に大きな影響を与えた宗教は、キリスト教、イスラム教、ヒンドゥー教、儒教、仏教、の五つです。それぞれ、人間は死んだらどうなるか、についてしっかりした考え方をもっています。
そこでこの本では、これらの宗教が、人間は死んだらどうなると考えているのか、詳しく追いかけることにします。(本書の「はじめに」より)
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死んだらどうなるのか、死んでみるまでわからない。だから、死んだらどうなるのかは、自分が自由に決めていい。宗教の数だけ、人びとの考え方の数だけ、死んだらどうなるのか、の答えがある。そのどれにも大事な生き方が詰まっており、人生の知恵がこめられている。
コロナ禍で「死」をこれまで以上に身近に感じている多くの人々に読んでほしい一冊。
目次
はじめに
1章 死ぬということ
●「このわたし」が存在しなくなる
●存在する/存在しない
●存在は経験できる・・・
2章 一神教は、死をどう考えるか
●天地の「創造」
●人間は、一人ひとり神が造った
●一神教のまとめ・・・
3章 インド文明は、死をどう考えるか
●仏は人なのか
●小乗仏教の死
●仏教の死は多様・・・
4章 中国文明は、死をどう考えるか
●儒教は宗教か
●なぜ政治なのか
●道教の自然と死・・・
5章 日本人は、死をどう考えるか
●縄文時代の死
●仏教の渡来
●仏教と葬儀・・・
6章 死んだらどうなるか、自分で考える
●神のわざ/人のわざ
●宗教を、2行にまとめる
●最後に言いたいこと・・・
あとがき