sugarさんの書評 2018/10/13
amazon 世界最先端の戦略がわかる
amazonについてはECサイトだけではなく、クラウドサービス会社AWSであり、AIを駆使した倉庫ロボット
KIVAによる物流革命を知っていたため、それらによる巨額の利益を背景にコストコと同様にamazonプライム会員を伸ばし、amazon経済圏を伸長させるビジネスモデルかと思っていたが、この本ではそれ以外の部分も指摘があり、大きな気づきとなった。
特に以下の部分である。
①FBA
②CCC
③アマゾンレンディング
①FBA:マーケットプレイスはただのオンラインの場を提供するだけ(まさに楽天)だが、FBAを利用すると、どんな企業もamazonのインフラが使用できる。
商品の保管から注文処理、出荷、決済、配送、返品対応まで全てをamazonがまとめて代行してくれる。
これはすごい。
まさに三方好。
出品者は商品の管理や配送、さらに返品対応などに時間も資金も取られることはなく、消費者もなじみの同じプラットフォームで簡単に商品を購入できる。
更にはamazonにとって②CCCにも関わるが、出品者の売上などの情報を取得でき、売れ行きが良いものはPB化や買収なども視野にamazonは経済活動ができる。
また楽天で売る商品をamazonから出品してくれる便利すぎるサービスを提供してくれる。これは既にamazonはNOVOCC(MVNOと類似したサービス)にも同じことが言えて、amazonは既に航空輸送のほか、海上輸送にも手を広げており、海上における輸送を高度なIT技術により、自社で輸送機関を持たずに最適なルートを選択し、輸送費を抑えている。もうお手上げである。
②CCC:仕入れた商品を販売し、何日間で現金化されるかを示したものである。小さければ現金を回収できるサイクルが短いということで、手元にキャッシュを長い時間持つことが出来る。つもりCCCは小さければ小さいほど良い。
これにおいてamazonのCCCはマイナスである。
これは先にamazonプライムにより多額の現金を入手しており、更に広告費でも更に利益を得ている。また出品者からはあらかじめ商品を倉庫に入れているため、現金(出品者からの納金の遅れ)がない場合の保険にもなる。
更にマーケットプレイスにおいて、消費者からの支払いはamazonが一括して受けている。その売り上げから手数料を差し引いて、出品者に返しており、この預り金によりCCCがマイナスとなっている。
これによりamazonは無利子の多額の現金を持つことが出来、それらを設備投資に回し、更に効率的な現金化を目指している。
③アマゾンレンディング:2014年から始まった法人向け融資サービスである。銀行は決算書や計画書などを基に融資の有無を人が決定する。しかし、amazonはマーケットプレイスを通じてリアルタイムの情報を基に融資判断する。
過去しか正確ではない決算書や不確定な計画書などではなく、リアルタイムを基準に判断しており、情報の新鮮度が違い、更に判断はそのデータを基に自動化されており、企業が望んでいなくても通知が自動的に来るようになっている。
しかも融資の申し込みから24時間以内に資金が借りられ、返済もアカウントから自動引き落とし。繰り上げ返済の際も手数料はかからず、売上から相殺することもできる。
更にamazonは今後、金融業に手を出していく可能性がある。
このamazonをまとめた本を読んで、いまだ知らない部分、特にプラットフォーマーとしての手法には驚かされた。
今後、amazonには勝てないのだろうか?いや、勝てる。
特にamazonが失敗した分野。携帯事業などの通信業
更にはそのほかのインフラである電気事業でシナジーを生み出せる分野となるだろう。
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