紹介
ドナルド・ウィニコットは世界的に最も著名な精神分析家のひとりでありながら、その治療は精神分析の枠を超え出るものだった。この入門書では、そうしたウィニコットの概念と仕事、批判と反論、そして後世への影響を、精神分析に明るくない読者でもついていけるように平易に解説。さらに著者は、心理療法だけでなく、ソーシャルワークのような隣接領域でもウィニコットの思考が役立てられていることを確認している。こうした示唆をうけとる形で、監訳者による解題では、心理職の活躍の場や方法が多様化する現代日本においてこそ、ウィニコットの遺産が輝きを放てることを示す。併せて読むことで、一人ひとりが自分自身のやり方でウィニコットを読み、生かすための最良の見取り図を得られるだろう。
目次
序文
第1章 ウィニコットの生涯
1 若年期
2 ダーウィンとフロイトを発見する
3 道を見つける――キャリア、分析、結婚
4 精神分析という政治
5 「すべて残らずなにもかも」
第2章 ウィニコットの主要な理論的貢献
1 ウィニコットの思考が受けた影響
2 成熟の達成
3 育児という仕事
4 父と家族
5 障害の分類
6 要約
第3章 ウィニコットの主要な臨床的貢献
1 小児科医と精神分析家
2 子どもたちとの作業
3 舌圧子ゲーム
4 スクイグル
5 ピグル
6 抱えることと包容(holding and containment)
7 憎しみと逆転移
8 「きわめてパーソナルな技法」
9 教師でありスーパーヴァイザー
第4章 批判 と 反論
1 イントロダクション
2 楽観主義と悲観主義
3 錯覚
4 移行対象
5 分化
6 育児の理想化
7 父親たち
8 性別差
9 社会構造の重要性
10 性愛
11 哲学からの批判
12 治療関係
13 結論
第5章 ウィニコットの影響の全体像
1 ウィニコット・リサーチ・ユニット
2 実践応用
3 小児医学
4 米国におけるウィニコットの影響
5 ウィニコット、ラカン、そしてフランス
6 英国におけるウィニコット
7 ソーシャルワーク
8 スクイグル財団
9 結論
読書案内
監訳者解題
監訳者あとがき
文献
索引
訳者
筒井亮太【第1章】
関 真粧美【第2章】
西坂恵理子【第3章】
筒井亮太【第4章】
浪花佑典【第5章】