目次
【目次】
例言
序章 本書の課題と方法
一 近代における音楽研究
二 戦前文化史から戦後芸能史へ
三 本書の課題
四 各章の構成と本書の視座
第一部 歴史と権力
第一章 琵琶の時代の特質
はじめに
一 累代御物の成立
二 累代楽器の特質
三 秘曲伝授と累代楽器
四 後醍醐天皇と累代楽器の紛失
五 琵琶の時代と笙の時代
六 中近世の名器と御遊
結語
第二章 御楽の成立と展開
はじめに
一 御楽の成立まで
二 御楽の成立
三 後醍醐天皇における御楽
四 御楽の展開
五 御楽始と七夕御楽
六 御楽の特質と背景
結語
第三章 三ヶ夜内侍所御神楽をめぐって
はじめに
一 基礎文献の整理及び内侍所御神楽の分類
二 寿永二年と延元元年の三箇夜内侍所御神楽
三 秘曲「昼目」について
四 『建武年中行事』の構想と後醍醐天皇の身体
五 観応、文和の動向
六 明徳、応永の三箇夜内侍所御神楽
結語
第四章 歴史叙述における仮名の身体性と祝祭性─定家本系『安元御賀記』を初発として─
はじめに
一 「宮廷誌」論と「北山第行幸仮名記」
二 舞御覧の特質
三 仮名によって音(こえ)はおぎなわれる
四 仮名は儀礼を祝祭し、日記の文脈を「語り」へと変える
五 仮名は儀礼と儀礼とをつなぐ
結語
参考資料 「北山第行幸仮名記」(付『公種記』)
第二部 空間と身体
第五章 琵琶秘曲伝授儀礼の形成をめぐって
はじめに
一 藤原貞敏の事跡(九世紀)
二 貞保親王と『南宮琵琶譜』(十世紀前半)
三 桂流と西流および藤原忠実(十一世紀から十二世紀)
四 藤原師長による儀礼の確立(十二世紀後半)
五 天皇家への伝授(十三世紀前半)
六 貞敏伝承の拡大
七 唱導の中の秘曲伝授
結語
第六章 啄木本譜外口伝について─『啄木調小巻物』をめぐって─
はじめに
一 『文机談』の本譜外口伝
二 持明院統における本譜外口伝
三 後醍醐と本譜外口伝
四 久我兼親、隆淵による秘説の流出
結語
参考資料 宮内庁書陵部蔵伏見宮旧蔵『啄木調小巻物』
第七章 弁才天をめぐる造形と文芸
はじめに
一 儀軌と図様の四分類
二 偽経類の形成
三 中世における弁才天と文芸(世俗側)
四 中世における弁才天と文芸(僧侶側)
結語
第八章 妙音堂について─秘曲伝授儀礼の復元─
はじめに
一 秘曲伝授と妙音天の歴史
二 秘曲伝授の本尊様式
三 堂宇の復元と儀礼の再現
四 秘曲伝授における本尊の生身性
五 形骸化する秘曲伝授と西園寺家による妙音天信仰の再興
結語
第九章 『妙音講式』について
はじめに
一 『妙音講式』概要
二 次第と空間
三 表白と伽陀
四 第一段式文と尊格の同一化
五 第二段式文と音楽の功徳
六 第五段式文と講式の受容
七 『妙音講式』の影響
結語
第三部 言葉と宗教
第十章 中世前期における狂言綺語観の展開
はじめに
一 諸法実相論の展開
二 澄憲「和歌政所結縁経表白」と『法華経』
三 「依地蹶者還依地而起」と順縁、逆縁
四 『柿本講式』と妄執の顕在化
五 『月講式』と心における諸法実相論
六 『音楽講式』と宿執
結語
第十一章 禅寂作『月講式』について─東から西へ往く本尊─
はじめに
一 講式の構成
二 本尊の重層性
三 懺悔発露の式文と論理展開
四 観想法の重層性
五 『月講式』の意図するもの
結語
第十二章 「宿執」について
はじめに
一 「宿」の側面
二 「執」の側面
三 諸道との重なり
四 『古今著聞集』「宿執」編の解釈
五 宿執と狂言綺語観
結語
第十三章 音楽儀礼における狂言綺語観
はじめに
一 法楽としての音楽と「簫笛琴箜篌」の句
二 『順次往生講式』にみえる諸法実相論
三 信西による弥勒講と舞妓
四 声としての狂言綺語観
結語
第十四章 後白河院における声と儀礼
はじめに
一 研究史の整理と方法
二 積まれる声
三 夜/夢想/霊験の声
四 参籠と法楽の声
五 紡がれる声
六 聖との結託と御自行
七 追討の声、追善の声
八 統合される声
結語
終章 中世王権の音楽と儀礼
一 宮廷音楽儀礼の特質
二 後醍醐の身体と儀礼の再構築
三 古典と王権
四 内乱の余波と中世音楽の展開
五 秘曲伝授の展開
六 秘曲伝授と唱導、説話とのつながり
七 音楽における宗教性の喪失
引用文献一覧
初出一覧
あとがき
索引(人名/書名・曲名・事項)