目次
凡例
はじめに
第一篇 周辺歌人と場と
第一章 始発期を中心に
第一節 大内の花見 ─最初の詠歌をめぐって─
第二節 『仙洞十人歌合』の特質と表現 ─判者の推定に及ぶ─
第三節 後鳥羽院の和歌活動初期と寂蓮
第二章 時空間の共有意識
第一節 「熊野懐紙」の和歌 ─後鳥羽院の熊野御幸途次当座歌会をめぐって─
第二節 後鳥羽院御所の空間的特質(一) ─水無瀬をめぐって─
第三節 後鳥羽院御所の空間的特質(二) ─最勝四天王院をめぐって─
第二篇 『新古今和歌集』とそれ以後
第一章 『新古今和歌集』の思想
第一節 『新古今和歌集』と鎮魂 ─西行・慈円をめぐって─
第二節 伊勢神宮と和歌 ─『新古今和歌集』神祇部神宮関連歌群とその周辺─
第二章 『新古今和歌集』以後
第一節 建暦二年の後鳥羽院
第二節 実朝懐柔と和歌 ─建保三年『院四十五番歌合』の場合─
第三章 隠岐における和歌活動
第一節 『遠島百首』の方法 ─改訂されなかった歌を通して─
第二節 神仏への信仰
第三節 後鳥羽院における源俊頼 ─『後鳥羽院御口伝』から「俊頼影供」へ─
むすびに 「置文」を契機として ─後世の後鳥羽院受容・点描
初出一覧
あとがき
索引(人名/書名・作品名/和歌初句)
前書きなど
本書は、ここに述べたさまざまな問題について、ふたつの観点から考察を試みるものである。ひとつは、後鳥羽院周辺で院のいる和歌行事に何らかのかたちでかかわり、院の存在や志向に影響を受けた、あるいは与えた歌人たちの動向や和歌表現を考察の主対象に据え、後鳥羽院の存在や志向との関係をあぶり出そうとする観点である。もうひとつは、後鳥羽院自身の動向や和歌表現の考察を通じて、後鳥羽院が時代とどのように向き合い、前代の和歌や同時代の歌人たちとかかわったのか、その志向や思惑を明らかにする観点である。その際には、できるだけその催しのおこなわれた状況や詠まれた和歌の背景を明らかにし、その時代に即して考えていく姿勢を心がけたい。......「はじめに」より