紹介
「中世王朝物語」はまだまだ読み解けないところだらけである。難解な本文にどう向き合い、いかに読み解くか。今後のゆくえを照らす書。
全体を「主題・構想論」「典拠・先行物語受容考」「引歌表現考」「本文校訂考」の四つに分け、読解を試みる。精緻な読みから「中世王朝物語」の成立圏・作者圏までをも見通していく。
【……「中世王朝物語」には、かように多くの問題を抱えて解釈困難な本文状況にある作品が多いのである。繰り返すが、「中世王朝物語全集」がそれらをすべて解決して信頼できる本文を提供してくれているわけでは決してない。文化史や周辺諸学と切り結んだ高尚な論考の出現が期待される一方で、我々は不断に地道な本文読解の努力を続けなければならないと思うのである。】……序章より
目次
序章 「中世王朝物語」の名義と対象
Ⅰ 主題・構想論
『松浦宮物語』の「偽跋」私解
『海人の刈藻』私見
『あさぢが露』読解考—「兵衛の大夫のりただ」関連記事をめぐって—
『石清水物語』概観
『八重葎』の再評価
『風につれなき物語』管見
Ⅱ 典拠・先行物語受容考
『はいずみ』小考—典拠としての平中説話の考察を中心に—
『海人の刈藻』の『源氏物語』受容
『松陰中納言物語』の『伊勢物語』引用について
『伊香物語』と紫式部伝説
Ⅲ 引歌表現考
『海人の刈藻』引歌考
『八重葎』引歌表現覚書
『あきぎり』引歌表現考
『松陰中納言物語』引歌表現考
Ⅳ 本文校訂考
『貝合』本文存疑考・二題
『在明の別』本文校訂覚書
改作本『夜寝覚物語』本文校訂覚書—巻一の場合—
付録 『海人の刈藻』登場人物総覧
初出一覧 あとがき 索引(和歌索引・研究者名索引)