紹介
『古事談抄』本邦初の、全訳の登場!
『古事談抄』とは、『古事談』巻第二、臣節(しんせつ)からの抜き書き的性格を持つ説話集。『古事談』を用いて新たな作品を作りだしている点では、一つの独立した説話集ということができる書である。本書ではじめて、その全訳がなされた。
底本は穂久邇文庫蔵本。構成は、釈文(読み下し文)、原文、校異、口語訳、語釈、余説、同話・類話である。『古事談抄』には説話番号は付されていないが、便宜的に通し番号を付け、『古事談』(現代思潮社)、『古事談』(新日本古典文学大系)に対応する説話の通し番号と各巻毎の番号を示した。また、説話の題目は『古事談抄』には記されていないが、便宜的に仮題を付けてある。また底本の影印をすべて収録してある(影印部分のみ、アート紙に印刷しています)。
※『古事談』は、源顕兼が日記・有職故実・楽書などをもとに、貴人の秘話を憚りもなく編んだ、魅力溢れる説話集。鎌倉時代初期成立。
目次
凡例
第一話(一○○/二ノ一・新大系二ノ一) 忠平の檳榔の事
第二話(一五八/二ノ五九・新大系二ノ五八) 師輔遺誡、不信の輩夭命の事
第三話・四話(一○一/二ノ二・新大系二ノ二) 朝成、大納言を望みて生霊と為る事
第五話(一○四/二ノ五・新大系二ノ五) 道長、伊周の牛の逸物を評する事
第六話(一○五/二ノ六・新大系二ノ六) 道長、遊女を召す事
第七話(一○六/二ノ七・新大系二ノ七) 法成寺金堂供養の日、道長感慨の事
第八話(一六○/二ノ六一・新大系二ノ六○) 行経、蔵人頭の上に座すの事
第九話(一六二/二ノ六三・新大系二ノ六二) 隆国、子馬に騎る事
第一○話(一一四/二ノ一五・新大系二ノ一四) 八幡別当清成、宇治殿に参りて飲食の事
第一一話(一六四/二ノ六五・新大系二ノ六四) 俊房、忠実を賞翫する事
第一二話(一一六/二ノ一七・新大系二ノ一六) 忠実少年の時、師実より大小の鷹狩装束に就いて教示の事
第一三話(一一五/二ノ一六・新大系二ノ一五) 忠実、朔日の御精進を鳥羽院に奏する事
第一四話(新大系 古事談逸文) 忠実、顕雅に感ずる事
第一五話(一六五/二ノ六六・新大系二ノ六五) 忠実、兼長を勘発の事
第一六話(一六六/二ノ六七・新大系二ノ六六) 忠実、師遠に感ずる事
第一七話(一一七/二ノ一八・新大系二ノ一七) 忠実、急速の召しの時、衣装夏冬を論ずべからざる事を師元に告ぐる事
第一八話(一一八/二ノ一九・新大系二ノ一八) 忠実自賛の事
第一九話(一二○/二ノ二一・新大系二ノ二○) 徳大寺大饗の後、頼長別足の食様の事
第二○話(一二三/二ノ二三・新大系二ノ二二) 頼長、自ら公卿座の末より蔵人頭朝隆を追ひ立つる事
第二一話(一二三/二ノ二四・新大系二ノ二三) 忠通、節会にあげまきを貝に懸けて食ひ給ふ事
第二二話(一六八/二ノ六九・新大系二ノ六八) 有国、泰山府君祭を修し、父輔通冥途より返さる事
第二三話(一二八/二ノ二九・新大系二ノ二八) 有国抱負の事
第二四話(一六九/二ノ七○・新大系二ノ六九) 道隆、有国を怨み官職を奪ふ事
第二五話(一三二/二ノ三三・新大系二ノ三二) 行成、殿上に於いて実方と口論し、振舞優美の事
第二六話(一三四/二ノ七二・新大系二ノ七一) 奥州あこやの松の事
第二七話(一七二/二ノ七三・新大系二ノ七二) 実方、蔵人頭に補せざるを怨みて雀に成る事
第二八話(一三二/二ノ三三・新大系二ノ三二) 行成、殿上に於いて実方と口論し、振舞優美の事
第二九話(一三四/二ノ三五・新大系二ノ三四) 行成、正直に依りて冥官の召しを遁るる事
第三○話(一三五/二ノ三六・新大系二ノ三五) 済時、空拝大将の名を得る事
第三一話(一三六/二ノ三七・新大系二ノ三六) 経信、北野社前にて下車せざるの事
第三二話(一三七/二ノ三八・新大系二ノ三七) 経信、宗通を評するの事
第三三話(一七三/二ノ七四・新大系二ノ七三) 実資の前声、道長の邪気を退散せしむ事
第三四話(一七六/二ノ七七・新大系二ノ七六) 俊明、清衡の砂金を受けざる事
第三五話(一七七/二ノ七八・新大系二ノ七七) 頼宗・定頼、経錬磨の事
第三六話(一七八/二ノ七九・新大系二ノ七八) 陽勝仙人聴聞の事
第三七話(一七九/二ノ八○・新大系二ノ七九) 保忠落馬落冠の事
第三八話(一八○/二ノ八一・新大系二ノ八○) 顕通・忠教、互ひに嘲る事
第三九話(一八一/二ノ八二・新大系二ノ八一) 伊通、不遇によりて所帯を辞するの事
第四○話(一八四/二ノ八五・新大系二ノ八四) 家忠、除目の執筆に衡の字を忘るる事
第四一話(一四二/二ノ四三・新大系二ノ四二) 九条顕頼、床子座に於いて夜食の事
第四二話(一八六/二ノ八七・新大系二ノ八六) 文学無き人、卿相に始めて昇る事
第四三話(一八九/二ノ八九・新大系二ノ八八) 盛章、熊野山中より大鳥を堀り出だす事
第四四話(一四八/二ノ四九・新大系二ノ四八) 業房亀王、吉夢の事
第四五話(一四九/二ノ五○・新大系二ノ四九) 伴善男の吉夢の事
第四六話(一五一/二ノ五二・新大系二ノ五一) 伊周配流の事
第四七話(一五二/二ノ五三・新大系二ノ五二) 郁芳門院菖蒲根合の事
第四八話(一八九/二ノ九○・新大系二ノ八九) 小野宮歓子・写経の文字、落雷に遭ふも焼けざるの事
第四九話(一五三/二ノ五四・新大系二ノ五三) 俊明、白河天皇を諫め奉るの事
第五○話(一五四/二ノ五五・新大系二ノ五四) 待賢門院入内の事
第五一話(一五六/二ノ五七・新大系二ノ五六) 大弐局、栴檀詮議の事
第五二話(一一三/二ノ一四・新大系二ノ一三) 師実、忠実に義親の首を見物せしめざる事
第五三話(一一六/二ノ一七・新大系二ノ一六) 忠実少年の時、師実より大小の鷹狩装束に就いて教示の事
第五四話(一一六/二ノ一七・新大系二ノ一六) 忠実少年の時、師実より大小の鷹狩装束に就いて教示の事
第五五話(一一五/二ノ一六・新大系二ノ一五) 忠実、朔日の御精進の事を鳥羽院に奏する事
第五六話(一二六/二ノ二七・新大系二ノ二六) 高階氏は業平の末葉の事、並びに業平勅使として伊勢に参向する事
第五七話(一二七/二ノ二八・新大系二ノ二七) 業平、小野小町の髑髏を見る事
第五八話(一二四/二ノ二五・新大系二ノ二四) 忠通御室の額を書き、菊方高名の事
第五九話(一二五/二ノ二六・新大系二ノ二五) 基房・兼実、賭弓奏の装束の事
第六○話(一七○/二ノ七一・新大系二ノ七○) 俊賢、定文を書くに●の字を忘るる事
第六一話(一三九/二ノ四○・新大系二ノ三九) 実資、女に不堪の事
第六二話(一七四/二ノ七五・新大系二ノ七四) 顕忠倹約の事、又額白の馬を好む事
第六三話(一四一/二ノ四二・新大系二ノ四一) 小野宮殿薨ずる時諸人悲歎する事
第六四話(一五○/二ノ五一・新大系二ノ五○) 清和天皇の御前身、善男と敵為る事
第六五話(一五一/二ノ五二・新大系二ノ五一) 伊周配流の事
第六六話(一八九/二ノ九一・新大系二ノ九○) 中宮賢子、広寿上人の後身たる事
第六七話(一九一/二ノ九二・新大系二ノ九一) 清水寺の師僧、進命婦に恋慕の事
第六八話(一九二/二ノ九三・新大系二ノ九二) 惟成、旧妻の怨に依り乞食と為る事
第六九話(一九五/二ノ九六・新大系二ノ九五) 惟成清貧の事
第七○話(一九四/二ノ九七・新大系二ノ九六) 惟成の妻、善巧を廻らし夫を輔くる事
●『古事談抄』解説
1『古事談』について
2『古事談抄』について
3『古事談抄』と『古事談』の本文について
主要参考文献
●穂久邇文庫蔵『古事談抄』(影印)
●あとがき
●執筆者略歴・第一次担当者一覧
●人名・地名・神仏名等索引...左開(1)