紹介
雑誌のタイトルとなった『跨境(こきょう)』は境界をまたぐという意味です。たんに越すということではなく、跨いでつなぐ。それぞれの局地性や立場を無視することなく、そこに一方の足場を置きながら、さまざまな〈境〉の向こうに他方の足を伸ばすことを目指しています。
【跨ぐことは、時に越えることよりも難しいかもしれない。だがいまこそ、その試みが必要だ。分断を一気に解消する方策など、ありはしない。すべての多様な人々を包括するような場も、できようはずがない。しかしそれでもなお粘り強く、境を跨ぎ、つなぎ続けることが重要だと私たちは信じる。『跨境/日本語文学研究』が、異なる立場、異なる考えをもつ者たちの、邂逅と対話の場となることを願っている。】...創刊の辞より
第3号は「大衆化社会と日本語文学」を特集します。
目次
□エッセイ―跨境の言葉
口承文学と脳内テクストについて●聶珍釗
「帝国」と「民族」の交差路で―林和研究からはじめて●渡辺直紀
和諍の政治●趙性澤
□特集 : 文化翻訳/翻訳文化
元台湾語通訳者市成乙重とアジア・太平洋戦争期の「福建語」●冨田哲
「巡礼の旅」のポリティクス―島崎藤村の南米訪問とその語り●岡英里奈
李桃丘子と俳句―朝鮮俳句の解放/敗戦前後から現在へ●中根隆行
越境する『砂の女』―安部公房、T・S・エリオット、ポール・ボウルズ●大場健司
言語体験としての旅―佐藤春夫の「台湾もの」における「越境」●河野龍也
「満州文学」における大内隆雄の翻訳活動―「満人作家」の理解者、代弁者として●単援朝
ヴェルヌから包天笑まで―鉄世界の重訳史●陳宏淑
リービ英雄「千々にくだけて」論―複数性・翻訳・俳句●藤田祐史
□一般論文
植民地期台湾における日本語俳句の受容と課題―植民地期朝鮮俳壇と比較して●磯田一雄
□研究資料
「高砂寮」(戦後の「清華寮」)関連記事―『台湾日日新報』より●横路啓子
朝鮮総督府機関紙〈『京城日報』文学資料DB構築〉事業●金孝順
「満洲国」時代に刊行された日本語文学資料の保存と整理●劉春英
「國民詩歌」—朝鮮半島における日本語詩歌文学の終章●嚴仁卿
□フォーラム参加記
「東アジアと同時代日本語文学フォーラム」台湾大会を傍聴して●波潟剛
『跨境/日本語文学研究』編集委員会規定
『跨境/日本語文学研究』査読規定
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『跨境/日本語文学研究』原稿作成要領
『跨境/日本語文学研究』原稿作成例示
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