紹介
慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科(SDM)
伝説の講義を紙上で再現!
経済、ビジネス、科学技術、政治、コニュニティ……。現代社会の複雑な諸問題を解決するためには、部分に特化した専門知識だけでは不十分で、
分野を横断した全体統合型の学問=SDM学(システムデザイン・マネジメント学)とその実践が注目を集めている。こうした時代の要請に応えるため
、2008年に設立されたのが慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科(慶應SDM)だ。社会のニーズを考慮しつつ、
多様な分野についてシステムの観点から研究に取り組み、問題解決に挑んでいる。
その慶應SDMで、2011年から2017年までの7年間、学生の間で絶大な人気を博し、今なお「伝説の講義」と呼ばれている名講義を紙上で再現したのが本書だ。
ベースとなったのは、吉田篤生元特別招聘教授による「経営・財務戦略論」。混沌とした現代社会にあって、「我々はいかに生き、どのように仕事をし、
企業のリーダーや経営者たちは、どのような方向に舵を切り、企業を牽引するのがよいか?」。凄腕税理士として経営の最前線で得た豊富な経験と物理学や
哲学を始めとする幅広い知識をSDMのフレームワークで再整理し、問題の核心に鋭く迫り、未来の指針へと昇華させている。
「経営財務の講義だと思っていたが、それだけでなく人生哲学を教えてもらった」と言うのは、本講義を受講したある修了生の感想。企業の本質とそこで
活躍するためのヒントが散りばめられた本書は、企業経営者はもちろんのこと、起業希望者やビジネスパーソン、これから社会に出る学生など、幅広い読者にと
って“新たな発見”を見出すことができる「伝説の講義録」となっている。
序章 慶應SDMとの出会い
第1章 私たちはどのような時代を生きているのか
第2章 企業経営の本質と永続経営体モデル
第3章 不易流行の経営と継承
第4章 中小企業の現場に学ぶ
第5章 歴史物語としての経営と会計
第6章 経営危機に陥ったある企業の闘い
第7章 激変する時代に生き残る金融機関
第8章 経営問題解決へSDM的視点を
第9章 大転換期での日本の役割
目次
序 章 慶應SDMとの出会い
「経営者になりたい」と27歳で会計事務所を立ち上げ ■SDMは「木を見て森を見る、
森を見て木を見る」学問 ■自然界に存在する普遍の真理を理解する ■「見えるもの、
見えないもの」を意識する ■「講義を残すべき」という卒業生の声に押され
第1章 私たちはどのような時代を生きているのか
今は500年前の大航海時代に似ている ■明日の基軸価値は初めからは輝いてはいない
■情報を呼び込む人、情報を見つけに行く人 ■資本主義はいびつに変質しつつある
■自然界の流れに沿ったシステム構築を ■「トランプ現象」は大転換が起きる前触れ
■求められるのは「自発的」な生き方
第2章 企業経営の本質と永続経営体モデル
企業には人間と同様に“人格”が求められる ■3万3000社に上る日本の老舗企業 ■ファミリー
統治が機能する欧米のファミリー企業 ■欧米企業は「財産」、日本企業は「お家」を守る
■「地域を支える存在」という意識を持っている
第3章 不易流行の経営と継承--ケーススタディー 豊島屋本店
老舗企業の経営継承 ■江戸時代に酒屋兼一杯飲み屋として創業 ■短期的利益よりも
長期的発展を追求 ■減少続く日本酒の国内消費量、ピークの3分の1に ■地域限定、
コラボ、微発泡…新商品に果敢に挑戦 ■身の丈に合うやり方で海外販路を開拓 ■本講義
からの学び
第4章 中小企業の現場に学ぶ--工場見学会 西島株式会社
慶應義塾長も参加した見学会 ■専用機の開発で技術力を磨く ■「自社一貫生産」と
「多能工」が特徴 ■最高齢の社員は85歳 ■衣食住を整えることが福利厚生の基本 ■売り上げ
8割減でもリストラしなかった ■毎日140人の社員全員とコミュニケーションを取る
■「子どもに勧められる会社」が理想 ■西島見学会からの学び
第5章 歴史物語としての経営と会計
制度としての会計 ■会計言語で語る企業の歴史物語 ■大航海をきっかけに複式簿記が
発達 ■福沢諭吉先生が日本に複式簿記を
第6章 経営危機に陥ったある企業の闘い
企業存続のため38億円の借入金を相続 ■法人成りの決断と個人債務の返済状況 ■メインバンク
の支店長との交渉決裂 ■新銀行団の協力を得て1年で18億円返済 ■債権回収会社との交渉、
1億円ディスカウント ■11億円の債権を売却、事実上借金をゼロに
第7章 激変する時代に生き残る金融機関
3分の1の中小企業が廃業の危機に瀕している ■今の融資構造には大きな歪みがある ■中小企業は
「約定弁済漬け」になっている ■中小企業のライフラインとして「専用当座貸越」活用を
■世界に誇れる地場産業をつくり上げた金融機関 ■「顧客本位の金融機関」を見極める5つの
ポイント ■金融リテラシーを身に付け、自分たちの身を自分たちで守る ■本講座からの学び
第8章 経営問題解決へSDM的視点を
経営資源のシステマティック・レビュー ■SDM的問題解決の手法 ■物理学に学ぶ ■経済学
に生態学的視点を
第9章 大転換期での日本の役割
「逆さ地図」から見えてくる日本人の特質 ■「あいまい」とは「合間をとる」こと ■調和と
協調の精神を発信し、世界平和に貢献を ■「経営・財務戦略論」で伝えたかったこと