目次
序 論 社会・文化領域における日韓関係の五〇年(磯崎典世・李鍾久)
一 制約下の接触から交流の進展へ
二 重層的な社会・文化の相互関係をいかに捉えるか
三 本書の構成
I 社会レベルの日韓関係の軌跡と断面
第一章 日韓関係と社会文化的な相互作用(李鍾久)
はじめに——日韓関係の多元化と社会的空間の共有
一 リスク社会化と世界市民意識
二 社会運動と公論の場
三 文化交流と公論の場
おわりに——開放と相互理解
第二章 日韓市民社会における相互認識(磯崎典世)
はじめに
一 起点としての日韓国交正常化——その時,相手をどう捉えていたのか
二 一九七〇年代の相互認識——維新体制と「政治的イメージ」
三 一九八〇年代の「日韓新時代」——新たなイメージの登場
四 流動期の日韓関係
むすびにかえて
第三章 在日朝鮮人からみる日韓関係——〈国民〉を超えて(文京洙)
はじめに
一〈国民化〉の時代——開放から一九五〇年代
二 在日朝鮮人社会の亀裂と変容——帰国運動から日韓条約へ
三 多民族化する日韓両社会
第四章 日本の日韓会談反対運動とその内在的批判——社会党・総評・共産党を中心に(大畑裕嗣)
はじめに
一 日韓会談反対運動研究の現状と課題
二 運動の展開過程
三 運動の主導勢力と各勢力における運動の位置づけ——社会党,総評,共産党を中心に
四 運動への内在的批判——旗田巍と玉城素
おわりに
第五章 歴史認識問題の展開に見る日韓関係(木村 幹)
はじめに
一 通俗的な見方の限界
二 日韓歴史認識問題の展開過程
三 教科書問題の展開過程
四 従軍慰安婦問題の展開
むすびにかえて
II 文化・知識の交流と日韓社会のダイナミズム
第六章 日韓文化交流と「反日」論理の変容——「倭色文化」批判言説の弱化(李志遠)
はじめに
一 前史——相互文明的差別の伝統
二 現代の「倭色文化」批判言説
三 一九九〇年代以降の地形変化と「倭色文化」批判言説の弱化
おわりに
7 大衆文化を通して見た日韓交流——オタク文化の事例を中心に(金孝眞)
はじめに
一 日本の大衆文化開放以前——一九九八年以前
二 日本の大衆文化開放以降——「「日本」大衆文化」から「日本「大衆」文化」」へ
三 「オドック」と「イルッパ」,そして「右翼認定」——最近の展開
おわりに
第八章 韓国と日本の環境運動と知識の交流(具度完)
一 リスク共同体としての韓国と日本
二 韓国の工業化と環境問題,そして日本
三 環境運動の交流
四 生命運動と生協運動
五 知識人の交流
六 結論
III 日韓社会文化の諸問題と相互作用
第九章 ジェンダーで日韓を見るということ——少子化,女性,超高齢社会(瀬地山角)
はじめに
一 比較としての東アジア,韓国
二 高齢者の就業パターン
むすびにかえて
第一〇章 非正規雇用の日韓関係史と日韓比較——被雇用者の分類枠組の伝播,土着化,そしてブーメラン化(有田 伸)
はじめに
一 韓国における非正規雇用論争
二 日本の労働力調査と韓国の経済活動人口調査の関係
三 日韓の雇用構造の相違と韓国における被雇用者の下位分類の土着化過程
四 その後の日本と韓国における非正規雇用とその補足方法
おわりに——韓国の事例が日本に与えるインパクト
第一一章 授業を通じた日韓教育交流——「一人の子どもも切り捨てない教育」を目指して(崔圭承)
はじめに
一 日韓教育交流の歴史
二 両国の研究会の教育交流二〇年
三 両国の研究会の交流会,その形式と内容
おわりに
第一二章 韓国における日本系宗教と日本における統一教会——文化現象としての両国間の宗教文化の相互受容(林慶澤)
はじめに
一 日本系宗教の韓国進出——歴史的背景
二 日本系宗教教団の韓国進出と活動——各論
三 統一教会の日本進出と日本社会
むすびにかえて——日韓宗教文化交流の可能性と限界
IV 地域社会・フィールドワークからの視点
第一三章 最前線・九州における日韓地方間交流(加峯隆義)
はじめに
一 九州における韓国との交流の変化
二 九州と韓国の一体的な交流圏の形成——福岡・釜山における超広域経済圏の形成に向けて
おわりに
第一四章 観光交流からみた日韓関係——対馬の韓国人観光を中心に(中村八重)
はじめに
一 対馬の概要
二 国際定期航路の開設と変遷
三 韓国人の対馬観光
四 対馬にとっての韓国人観光
おわりに
第一五章 自治体交流と市民交流——富川市と川崎市の交流事例を中心に(李時載)
一 日韓自治体交流の社会政治環境
二 市民交流から友好都市協定締結へ
三 市民交流
四 学術研究交流と相互の変化
五 考察
第一六章 日韓間の人類学交流と韓国人類学の日本研究(朴東誠)
一 韓国文化人類学の成立と日本
二 韓国人類学者の日本研究の傾向
三 共同研究と研究交流
四 日韓間交流と人類学の可能性
第一七章 日本の人類学者の韓国認識——一九七〇年代初頭以降のフィールドワークと民族誌的知識の蓄積(本田 洋)
はじめに
一 農村・村落調査の隆盛
二 産業化・都市化を背景とする多様なアプローチの模索と歴史的視角
三 分化する生き方の(再)脈絡化
おわりに
あとがき
執筆者紹介
事項索引
人名索引