紹介
認知科学、神経科学の隆盛によって、
あらためて注目を浴びる「心の哲学」は、
奇妙な主張をしている。
「意識は物質世界の一領域である」
「意識は自由な意思決定能力をもたない」
本書はこういった議論に真っ向から対峙する。
現象学的立場と進化論的議論から、
心理学的意識と現象学的意識の
本質、起源、その有用性の検証へ――。
繊細にして雄大な、意識世界を辿る。
目次
第一部 「心の哲学」との対決
序 可能性の議論への違和感
第一章 意識は無用か
第二章 意識の有用性
第三章 心は物質に宿る──スーパーヴィニエンス──
第四章 運命を知りえぬことが、自由を私たちに残さないか
第五章 意識は瞬間ごとに死ぬ?──ひとつの懐疑──
第六章 意識とは誤解の産物である──消去主義の検討──
第七章 「物理世界は完結し、心の働きかけを許さない」と言えるのか
二部 意識は本当はどういうものか
第八章 意識の実像──ふたつの実存とふたつの視覚経路──
第九章 実践的意識が見る世界
結論
目次
第一部 「心の哲学」との対決
序 可能性の議論への違和感
第一章 意識は無用か
(一・一)意識は無用か──リベットの議論
(一・二)ゾンビ論証
(一・三)「擬似ゾンビ」と人間の生存競争
(一・四)意識が行動に影響しないとするとどうなるか
第二章 意識の有用性
(二・一)現象的意識と意志
(二・二)現象的意識の生存上の役割
(二・三)生存上の役割の一例──色──
(二・四)現象的意識を利用した知覚、行動
第三章 心は物質に宿る──スーパーヴィニエンス──
(三・一)スーパーヴィニエンスと心的因果
(三・二)スーパーヴィニエンスと意志の自由
第四章 運命を知りえぬことが、自由を私たちに残さないか
(四・一)どう決定されているか知ることができない
(四・二)進化論上の問題点
第五章 意識は瞬間ごとに死ぬ?──ひとつの懐疑──
(五・一)意識は瞬間ごとに死ぬのか
(五・二)パーフィットの「人格の同一性」
(五・三)関係Rか経験する私か
(五・四)意識が瞬間ごとに死ぬならどうなるか
──実践的問題──
(五・五)意識の「本質」と現実の意識
第六章 意識とは誤解の産物である──消去主義の検討──
(六・一)消去主義
(六・二)消去主義と意味
第七章 「物理世界は完結し、心の働きかけを許さない」と言えるのか
(七・一)進化論的観点から
(七・二)意味と自由
(七・三)自由か必然か
二部 意識は本当はどういうものか
第八章 意識の実像──ふたつの実存とふたつの視覚経路──
(八・一)メルロ=ポンティのふたつの実存
(八・二)「自然」とは何か
(八・三)視覚のふたつの経路
(八・四)二経路説と意識論
(八・五)意識の分業と並行活動
(八・六)メルロ=ポンティの実存的意識観の見直し
(八・七)意識は何をしているか
第九章 実践的意識が見る世界
(九・一)知覚的信念
(九・二)実践と知覚
(九・三)クオリアと表象主義
結論