目次
はじめに
雪だるまの歴史は語れるか?/「読み」と「振仮名」/日記に振仮名を付けるか/太宰治『人間失格』の自筆原稿を例として/「振仮名の歴史」探訪の旅
第一章 振仮名とはなにか
第一節 サザンオールスターズの歌詞にみられる振仮名
歌詞カードはなんのために?/さまざまな書き方が許されている日本語/漢字で書きたい!/二つの言語/読みとしての振仮名/常用漢字表による漢字使用制限/表現としての振仮名
第二節 現代の小説にみられる振仮名
振仮名がなくても日本語は書けるか?/振仮名として付けられた方言=吉里吉里語/井上ひさし「振仮名損得勘定(ルビはそんかとくかをかんがえる)」/特殊な語形が振仮名になる/漢字がつなぐ二つの語形/片仮名書きされている語
第三節 コミックスにみられる振仮名
注釈的な振仮名/固有名詞と振仮名/二つの読みをもつ漢字/漢字以外の文字に振られた振仮名/ここはどこ?
第四節 ルビ訳のいろいろ
語句説明としての振仮名/古典の現代語訳/英語の日本語訳
第二章 平安時代から室町時代までの振仮名——読みとしての振仮名
第一節 振仮名の起原
『日本書紀』の振仮名/漢和辞典は振仮名からつくられた?/『類聚名義抄(るいじゅ(う)みょうぎしょう)』の成立/ 定訓(ていくん)への道
第二節 仮名(平仮名・片仮名)と振仮名
紫式部は『源氏物語』に振仮名を付けたか?/「平仮名漢字交じり文」には振仮名は付けられていなかった/『平家物語』はいろいろな書き方がされている
第三節 室町時代の振仮名
「しょっちゅう」使う『節用集(せつようしゅう)』/漢字の左側にも振仮名がある!/再び漢字がつなぐ二つの語形/表現としての振仮名
第三章 江戸期の振仮名——表現としての振仮名
第一節 読本(よみほん)の振仮名
読本の左右両振仮名/振仮名のマニエリスム/『南総里見八犬伝』の振仮名いろいろ/近代中国語とつながる振仮名/「深念」は「シアン」と読むのか?
第二節 江戸期に出版された辞書にみられる振仮名
楷書が振仮名?/俗語が振仮名?/左振仮名が二つ?/中国語テキストの振仮名/日本語訳の位置に置かれた漢語
第三節 江戸期の振仮名百花繚乱(ひゃっかりょうらん)
『伊勢物語』をすべて漢字で書いてしまった!/ 草双紙(くさぞうし)にも振仮名/どうしても振仮名/ 譃字(うそじ)にも振仮名/アルファベットにも振仮名
第四章 明治期の振仮名
第一節 新聞の振仮名
大(おお)新聞と小(こ)新聞/ルビってなに?/活字の大きさ——「ポイント」の歴史/日本の活字/ポイント・号・級/『絵入自由新聞』の振仮名/レイゼイとモドシゼイ
第二節 布告(ふこく)・布達(ふたつ)の振仮名
漢語辞書の凡例/振仮名付きの布告集/振仮名ばかりか絵も付いた!
第三節 翻訳小説の振仮名
『ロビンソン・クルーソー』の振仮名/燕尾服と断後衣/ひっくり返った振仮名/明治の誤植いろいろ/初版と再版とで振仮名が違う!/振仮名に東京方言?/「法度」は「ホウド」か?
第四節 夏目漱石の振仮名
自筆原稿の振仮名/漱石の書き方はユニークなのか?/『東京朝日新聞』の振仮名/大阪と東京では振仮名が違う‼/単行本『それから』の振仮名
おわりに
総ルビで発表された振仮名廃止論?/振仮名はボーフラ? 山本有三の振仮名廃止論/「ふりがなは、原則として使わない」/現代の新聞/同音の漢字による書きかえ・交ぜ書き/振仮名の過去・現在・未来
補 章 「振仮名の歴史」のそれから
常用漢字表について/振仮名に現われる非標準形/『言海』の「漢ノ通用字」/日本語と中国語のずれを埋める/『違式詿違条例』
あとがき
現代文庫版あとがき