紹介
なぜ地球上にはこれほどにも多種多様な生物がいるのだろうか。ダーウィンは、これらの生物には共通の祖先があり、それが長い時間をかけて変化してきた結果、この多様性が生まれたのだと考えた。そして、このような「変化」の原動力は自然淘汰であるとし、進化の理論を提唱した。現代の進化理論は、この自然淘汰の考えに、分子遺伝学をはじめとする生物学のあらゆる成果を取り入れて豊かになり、現代科学の重要な指導原理のひとつになっている。本書は、この魅力的な科学である進化の理論を、最新の成果をふまえて簡明に解説している。自然淘汰万能の立場ではなく、木村資生の中立説にも十分なスペースを割き、科学論との関わりや社会生物学論争にも言及している。
目次
現代進化理論の概要
種とは何か
種内変異
遺伝
遺伝と変異
突然変異
自然淘汰の理論
淘汰の実例
中立進化と分子時計
遺伝子ファミリーと遺伝子進化
種の起源
ガラパゴス諸島における種形成
生命の階層
証明と反証、科学と政治
生命の起源と初期の進化
進化と人間
進化論をめぐる人々