紹介
経済学の歴史のなかで、最も卓越した業績を残し、思想的独創性において抜きん出るヴェブレン。その生涯と人となりを数々のエピソードとともに紹介しながら、難解とされるヴェブレン経済学の核心とその今日的意義を明らかにする。さらに、ヴェブレンの経済学の考え方を受け継ぎ、時代の新たな動きに対しながらいっそうの展開をはかった、ケインズ、ロビンソン、ジェイコブズ、ボウルズら、制度主義的な枠組みに連なる経済学者の現代的意味を論じることを通して、先駆者ヴェブレンの偉大さを確認する。本書は、わが国を代表する経済学者が、行き詰まった経済学を再生させるための原点と道標がどこにあるのかを、平明な語りで指し示した啓蒙的な経済学入門。
目次
第1部 ソースティン・ヴェブレン-その人と思想(疾風怒濤の時代(Sturm und Drang)
シカゴ大学のヴェブレン
スタンフォードのヴェブレン
スタンフォード大学を去って)
第2部 ヴェブレンを継ぐ人々(ジョン・メイナード・ケインズと『一般理論』
ジョーン・ロビンソンと「経済学の第二の危機」
リベラリズムの思想と経済学
ジェーン・ジェイコブスと『アメリカの大都市の死と生』
『自動車の社会的費用』と社会的共通資本
サミュエル・ボウルズと『アメリカ資本主義と学校教育』
二つの「レールム・ノヴァルム」)