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さんの書評2021/01/26

コンサルを超える 問題解決と価値創造の全技法

コンサルを超える 問題解決と価値創造の全技法 名和 高司(著)☆4 正解⇒https://www.biz-knowledge.com/entry/surpass-consultant マッキンゼーとボストンコンサルティング、両方でコンサルティングとして働いていた著者による二つの会社が用いている問題解決手法を目的から紐解きつつ、基本的な分析手法である「PEST」、「3C」、「SWOT」など定番フレームワークのの業務への落とし込み方と問題点を指摘。 また更にこれから必要となってくる価値創造について、どのように落とし込んでいけばよいのか?を指南している。 著者はコンサルは今後、AIに取って替わると言ってはばからず(ペッパー君がコンサルになる前に)、だからこそ、社会課題解決まで持っていくことが価値創造であり、コンサルの真の姿であると説いている。 各章は最後にまとめがあり、非常にコンサルらしいわかりやすい文章構成で、勉強になる。 そもそもの課題設定が肝で、そのピポットが重要である点、身に染みる話である。 第一章 問題解決力のまとめ ・問題解決は総合芸術である ・「問題だ」と思われているものは、現象にすぎず、本質的な問題ではない ・問題解決には、分析力に加えて、構築力がカギとなる ・そのためには、真理に迫る論理力だけでなく、心理に迫る洞察力が必要 ・答えはひとつではない。実行されてはじめて答えにたどり着く 第二章 課題設定力「論点思考」のまとめ ・問題の本質(チョークポイント)についての仮説から出発する ・why?を5回で、問題の本質を深堀りする ・「やるべきこと」を見つけるのではなく、「why not yet?」(なぜできていないのか?)を見極めることがカギ ・問題箇所に集中するのではなく、ソリューションスペースを広げる ・問題を機会に変えることで、異次元の可能性につなげていく ・事実に推論を加え、推論のあとにレコメンがあって初めて、提案としての価値が生まれる 第三章 仮説構築力「仮説思考」 ・「既顧客」ではなく、「未顧客」に注目する ・時間軸を取り込むことで、トレードオフをトレードオンに変換する ・あえて「OBゾーン」に打ち込み、「聖域」に踏み込む 第四章 インパクト力「インパクト思考」 ・課題に丸ごと取り組むのではなく、サブイシューのかたまりに細分化する ・経営上最重要なインパクト指標はボトムライン(収益) 第五章 フレーミング力①MECEとロジックツリー 第六章 フレーミング力②定番フレームワーク 〇PEST分析> マクロ環境を整理するには効果的だが、そこから新しい洞察が生まれることはない。あくまで戦略を練り上げるためのスタートライン 〇SWOT分析> 当たり前の「強み×機会」や「弱み×脅威」ではなく、「弱み×機会」と「強み×脅威」に注目し、「弱み×機会」←M&A、アライアンスが有効。「強み×脅威」←自己破壊を狙った別組織で対抗する ◎3C分析>市場を顧客、競合、自社の軸で分け、独立関数として分析しても意味がない。三者の重なりと動きに注目することで、市場のダイナミズムを洞察できる。現状分析ではなく、将来予測こそが戦略立案の肝となる。ブルーオーシャンは決して長くは続かない。したがって、レッドオーシャンでも勝ち抜くパワーと、新たにブルーオーシャンを生み出す努力の両輪が必要となる。 ▼5F分析>現状の整理にはなるが、それを戦略の前提にしてはならない。非連続な成長を目指すうえでは、顧客、サプライヤー、競合などと「競争」するのではなく、いかに「共創」するかという視点が求められる。 ▼バリューチェーン>自社活動に限定して捉えてはならない。顧客や産業全体の視点から幅広く捉え直し、「足すもの」、「引くもの」「自らやること」、「他人に任せること」をクリエイティブに設計し直す 〇アンゾフの成長マトリックス>市場と商品を2軸に取り、それぞれ既存と新規に二分することで、2x2のマトリックスができる。ただし「新×新」領域に一気に飛ぼうとすると、強みがないので確実に失敗する。片方の軸を既存に置き、もう片方の軸を新規にずらすことでイノベーションの成功率が高まる。更に3x3のマトリックスにすることにより、中間に「渡り廊下」を置くことで、進化の「けものみち」が見えてくる 第七章 分析の切れ味 第八章 ストーリーとしての戦略 〇プレゼンは論破より共感がカギ。危機感より使命感に火をつけることが重要 第九章 大前研一の「ワープする脳」 第十章 IQ・EQ・JQと「真善美」 〇何が善かを見極める力こそが、人間がAIに勝つ最後の砦 〇右肩上がりの成長が限界を迎えつつある今こそ、これまでのロジックを不利かがしてすぐに正解を求めるIQではなく、何が善かをじっくりと見極めるJQが求められる。

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さんの書評2020/12/18

2020年6月30日にまたここで会おう 瀧本哲史伝説の東大講義 (星海社新書)

2020年6月30日にまたここで会おう 瀧本哲史伝説の東大講義 (星海社新書) 瀧本 哲史(著)☆5 基本的に20代向けに行われた伝説と言われる瀧本氏の東大講義の書き起こしである。 ちょうど8年前、私はすでに30代中盤に差し掛かっており、何を成すべきかなど考えずにいた。 この講義に出会っていたら大きく変わっていたのでだろうか? 多分、変わっていただろう。 文章にしてもまだその熱量は保っており、文章が圧倒的な知識量とともに流れ込んでくる。 一気に読了した。 この本(講義)のなか、最後にすべてが繋がっていると言ってはいるが、特に伏線が張っているわけではなく、そこには「自分で考えて、自分で動く必要があるよ。君はどうだ?」と挑発が一貫して隠れている。 まさに右手にロジック、左手にレトリック 最後にまとめてある”武器”をまとめてもひとつの話が出来上がる。 第一檄 ・奴隷でも、猿でもなく、「人間」になろう ・本を読んで終わり、人の話を聞いて終わりではなく、行動せよ! 第二檄 ・「正解」なんてものはない ・自分の人生は、自分で考えて、自分で決める。 ・そのための「思考の枠組み」として、リベラルアーツがある。 ・自分自身を拠りどころとするために、学べ! ・まずは「言葉マニア」になろう。 第三檄 世界を変える「学派」をつくれ ・パラダイムシフトとは、「世代交代」である。 ・君と君たちが正しい選択をし続ければ、いつか必ず世界は変わる! 第四檄 ・弱者こそ、「交渉」という名の武器を持とう ・常に「相手の利害」を分析せよ! 第五檄 ・自分の仮説を、試せ! ・見込みのある人を、支援せよ! ・仲間を、探せ! ・目的のために、つながれ! 「何かすごいリーダーをひとりぶちあげるより  世の中を変えそうな人をたくさんつくって、  誰がうまくいくかわからないけれども  そういう人に武器を与え、支援するような活動をしたほうが  実際には世の中を変えられる可能性が強いんじゃないか?」 「世の中を変える活動を裏で支援する  若きゲリラたちの軍事顧問でありつづけたい」 「自燈明(じとうみょう)  自ら明かりを燈せ。  他の誰かがつけてくれた明かりに従って進むのではなく  自ら明かりになれ」 まさに自分は何を成すべきか? 最初から最後まで静かに焚きたて、最後に青い炎にしてくれる言葉のチョイス 感服しました。

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さんの書評2020/12/12

コロナショックと昭和おじさん社会 (日経プレミアシリーズ)

コロナショックと昭和おじさん社会 (日経プレミアシリーズ) 河合 薫(著)☆ゼロ コロナの影響で既存システムのひずみが顕在化し、それによりニューノーマル生活に多大な影響を及ぼしている。 昭和初期に定義され、高度成長期に詠歌を極め、それを基に築かれた生活スタイルが時代遅れになっていたが、だましだまし何とか社会は回っていた。 それがコロナにより否が応でも変化せざる負えなくなったが、昭和おじさんは社会上層を占めている、特に会社では古いシステムで成り上がっていった人が上司となっており、政治も同じで急激な変化についていけず旧態依然のシステムを捨てようとしていないことにより、多くの弊害が出ていると そこまでは良い。 では、どうするのか?未来についてこの本には何も書かれてはいない。 コロナ以前に著者が書いたコラムを手直しして、色々と呟いているが何から何まで支離滅裂 指摘するまでもなく、アンケートを基に量的調査、更に中身についても質的調査をしているとの事だが、出てくるのは著者の知り合いや○○と言われている。など 政府の提言も「家族を大事に」との言葉に、家族すら頼るものがいない人をないがしろにしていると糾弾しているが、最終的にそれらの人たちは「他人力」を糧にすべきであると結んでいる。 本のお題目からこんなにずれた結論を良くも出せたな?と逆に感心する。 日経プレミアシリーズのレベルが知れるという意味でしか役に立たない。 かなり勉強して、それなりに実績を残していると思われる著者だとお見受けしますが、紙の無駄になるのでブログで呟いていてください。

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さんの書評2020/11/15

ポチらせる文章術/大橋一慶(著)

ポチらせる文章術/大橋一慶(著) ☆4 セールスコピーを考えるために必要な考え方を非常にわかりやすく書いてある。 今までコピーライティングを勉強したことがない初心者だけでなく、マーケティングとしても勉強になる内容だった。 なぜなら、セールスコピーには考える順番があり、それには想定される顧客のステージのセグメントが大きくかかわっている。 ●キャッチコピーからの順番が大事 1.振り向かせる(=キャッチコピー) 2.近づいてもらう(=リードコピー:キャッチコピーとは別のベネフィットや社会的証明を伝えてキャッチコピーを強化したり、ザイガニック効果や魅力的なオファーを語る) 3.信頼できる証拠を見せる 4.ベネフィットを伝える 5.ベネフィットが叶う理由として商品を伝える 6.今すぐ動いてもらう理由や条件を伝える テンプレも少しではあるが厳選されて載っている。 この本は初心者のみならず教科書的な位置づけであり、基本を理論を織り交ぜながら平易な言葉で教えてくれる。 形式も会話形式で、読むのに負担が少なく良書に含まれると考える。

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さんの書評2020/10/30

武器としての図で考える習慣: 「抽象化思考」のレッスン

武器としての図で考える習慣: 「抽象化思考」のレッスン 平井 孝志(著)☆3 物事を考えるとき、ある程度フレームに当てはめることにより、その法則性を自ら導き出し、更に新しいフレームを加えることにより思考を広げる。 普段、頭の中で行っているものを本書では前半を具体事例を示しながら、「田の字」、「矢バネ」で思考する理由を示している。 後半はその使い方をレクチャーする。 基本的なことではあるが、私はこのような図を示す、言葉に書き出すことは非常に重要であると考える。 これは普段より、ケンカをした際や理不尽な出来事があった際など、まずは文章化し、その流れを客観視することにより、物事が見極められることが多いと感じている部分がある。 更に書くことにより、思考は整理され、さらにはそれは映像化、抽象化による深さが加えられるためだと考える。 本書は非常にその点をわかりやすく書いており、すぐに読破できる。 また個人的にはコラムが面白く、意外性があることが記載されていた。 PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)分析が現在も有効か?について言及する部分である。 つまり50年以上前に提唱されたフレームワークは時代遅れの考え方なのか?正直、しっかり考えたことがなかった。 フレームワークは思考の基準であり、まさに枠であり、道具であり、道具に正誤があるとは考えていなかった。まさに思考の枠外であった。 著者はその点をわかりやすく説明する。 PPMは縦軸に市場成長率(相手の魅力度)、横軸に相対マーケットシェア(自分の強み)を記載しており、負け犬は撤退、問題児を花形に移らせて事業を拡大していくのかを抽象化したフレームワークである。 しかし、この縦軸の市場成長率は高度成長期とは程遠く多くの先進国では市場は成熟しており、現在ではそもそも存在しておらず、市場の魅力は成長率だけでは語れない部分があると指摘する。 更にマーケットシェアだけでは自分の強みを語れないと指摘する。 また最も大きな問題点として、市場やシェアなどの「外」に目を向け、「中」、つまり自社の持つ資源・能力は明確に扱っていないと指摘している。 つまり、今どんな能力があるので、どうシナジーを活かしながら、何をすべきか?は何も示せないとしています。 ひとつのフレームワーク自体にすべてを求めるのは酷ではあるが、そのような視点はなくまさに図で考え、思考を広げる習慣がついている著者の実力を感じることが出来た。

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さんの書評2020/10/17

NINE LIES ABOUT WORK 仕事に関する9つの嘘 ☆5

NINE LIES ABOUT WORK 仕事に関する9つの嘘 マーカス・バッキンガム(著)アシュリー・グッドール(著)櫻井祐子(翻訳) よくある啓発本、ビジネス本かと思ったらうれしい意味で大きく裏切られた。 内容は刺激的でかつ、的を射ており、まさに実感に沿っている。 これまで読んでいた啓発本、ビジネス本とは一線を画す内容で、非常に面白かった。まさに良書である。 まず最初にビジネスにおける常識に疑問を呈し、それらを過去の膨大なアンケート結果と照らし合わせて結論を導く。過去、読んだビジネス本のようにあれも出来なければならない、これも考えなければならないなど完璧なビジネスマンを求めては一切ない。 個人個人の特性に合わせた働き方、考え方を示している。 いうなれば、過去のビジネス本は理想を提示し、目標とする。それに向けて過不足を指摘し、それらを埋めるべくステップアップを描く。 一方、この本では個人にスポットを当て、そこからスタートし、足りないものは得意な人にやらせるべきであると説く。 そのため、リーダーシップっというスキルはないとまで言い切る。 リーダーシップは人によって異なり、つまるところ、リーダーシップとはフォロワーがいることであると再定義し、そしてフォロワーは尖りに着いていくとしている。 ウソ#1 「どの会社」で働くかが大事 → 「どのチーム」で働くかが大事:そこが実際の仕事が行われている場所だから ウソ#2 「最高の計画」があれば勝てる → 「最高の情報」があれば勝てる:計画は世界の動きについていけないから ウソ#3 最高の企業は「目標」を連鎖させる → 最高の企業は「意味」を連鎖させる:集団としての価値観を誰もが知りたがっているから ウソ#4 最高の人材は「オールラウンダー」である → 最高の人材は「尖っている」:個性は仕様であってバグではない ウソ#5 人は「フィードバック」を求めている → 人は「注目」を求めている:最高の自分を認識してほしいから ウソ#6 人は「他人」を正しく評価できる → 人は「自分の経験」なら正しく評価できる:それしか頼れるものがないから ウソ#7 人には「ポテンシャル」がある → 人には「モメンタム」がある:それぞれの人が違う方法で世界を渡っていくから ウソ#8 「ワークライフバランス」が何より大切だ → 「仕事への愛」が一番大切:それが仕事の本当の目的だから ウソ#9 「リーダーシップ」というものがある → 我々は「尖り」についていく:尖りは確実性をくれるから 最高の計画はすぐに役に立たなくなる。 では、どうすれば良いのか 1.できる限りの多くの情報を解放する 2.チームメンバーを注意深く観察し、彼らがどのデータを役立つと感じるか知る。 どうやってデータを正確にするか、つまりどうやってノイズからシグナルを抽出するか 3.データの意味づけはチームメンバーに任せよう つまり、最高の計画ではなく、「最高の情報」が必要である。 目標も同様で(3.最高の企業は「目標」を連鎖させる) 企業にはたくさんの目標がある。 目標設定法だけでも、SMART、BHAG、KPI、OKR。 新しい目標設定を作っては、連鎖させようとがんばっている。 大事なことは、目標が役に立つかどうか、 あなたがより大きな貢献をする助けになるかどうかを 判断する唯一の基準は、あなたが自発的に設定したかどうか? 意味と目的がわかれば人は動く 最高の企業は「意味」を連鎖させる 4.最高の人材は「尖っている」:個性は仕様であってバグではない 会社間よりも同じ会社内のほうが、経験のばらつきが大きい 業種にかかわらず、最もエンゲージメントが高いのは、5つのチームで仕事をしている人である 「目標が生産性を上げた」エビデンスはない 何かを測る場合には、適切な測定方法を選ぶために、まず測ろうとしている対象が状態なのか、特性なのかを知っていなくてはならない 5.人は「注目」を求めている:最高の自分を認識してほしいから 人は「フィードバック」を求めていると思われているが、 実際、人は「注目」を求めている。 最近では疫学や計量心理学、統計学などの分野で、 心臓病と鬱、自殺のずば抜けて強力な予測因子として、孤独が特定されている。 人間は他人から注目されないと弱る生き物なのだ。 安心でき、批判を受けない環境で注目を注がれれば、 人は自然とそこにとどまり、楽しんで働こうとする。 チームの好業績を生み出すうえで、ポジティブな注目はネガティブな注目の30倍も効果がある。 ポジティブ対ネガティブの理想的な比率は3対1から5対1程度、つまりネガティブなフィードバック1回につき、強みに注目するフィードバックを3回から5回。 それでも、人はいくら指摘されても、助言されても伸びない。 人は、誰かにアドバイスをすることを好むが、実際にそのアドバイスは無駄になることが多い。 人は自らひらめき、考えないと結局成長しないのだ。 ひらめきが、意味づけを助け、目の前の課題を見るレンズとなり、前進を導く指針になる。 このひらめきこそが学習であり、それは外側から促すことはできても、内側からしか生み出すことはできない。 相談を受けたら、次の三つを一緒にやろう 1.「今、うまくいっていること」を3つ挙げさせる 2.「過去」に同じようなことがあったか探す 3.「何をやる必要があるだろう?」と確認する これから上位職で働くもの、現在も働いているもの、もちろん新人も つまり、全社員必読の内容となっている。

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さんの書評2020/09/23

マーケティングプロフェッショナルの視点 明日から仕事がうまくいく24のヒント

マーケティングプロフェッショナルの視点 明日から仕事がうまくいく24のヒント 音部 大輔(著) 著者はP&Gでブランドマネージャーを務めた方でマーケティングを俯瞰的に捉えることが出来るほどの百戦錬磨である。 そのためそれぞれの言葉の定義がはっきりとしている。 例えばマーケティングとブランディング 共に「消費者の認識に作用して、購入などの消費者行動に必然性を提供する企業活動である」が マーケティングは「属性の順位を転換して市場を創造する」ことを目指す。結果的に、ニーズを作り出すことにつながる。 一方、ブランディングは「ブランドの意味の確立」を目指す。 ベネフィットを作り出すことにつながる。 また”戦略”とは目的を達成するための資源活用の指針である。 つまり、戦略とは目的と資源である。 目的を明確に説明できるようでなければならないと説く。 最後に『パーセプション・フロー・モデル』を用いてマーケティングの設計図を描くことを提唱している。 パーセプションフローモデルは従来のカスタマージャーニーマップとは以下の3点において異なっている。 ① カスタマージャーニーは4Pのプロモーションとプレイスに注目した「行動と接点」の記述であることが多いのに対し、パーセプションフローモデルはプロダクトやプライスも包含したすべての4P要素による「認識の変化」を中心としている。 ② カスタマージャーニーは「現状の記述」であるのに対し、パーセプションフローは「これからの全マーケティング活用の設計図」である。 前者は過去から現在に基づいた活動の最適化を促し、校舎は未来の計画立案をもたらす。特に属性順位の転換をして「いい〇〇」を再定義する市場創造には不可欠なものとなる。 ③ カスタマージャーニーはカテゴリーごとなので競合でも似たものになるのに対し、パーセプションフローはブランドごとなのでブランドに固有のものになる。 前者はカテゴリー内での相対的な弱点を把握するのにも適する。 対して、後者はブランドに固有の意味を構築するブランディングの設計に必要である。 つまり、パーセプションフローは企業、ブランドにより固有のものとなるため別部署であっても同じものが適用され、一気通貫なブランド構築に優位であろう。 このように言葉は正確でまさにマーケティングの権化 しかし、それは抽象的過ぎて腑に落ちない部分が多い。 平易な言葉であるが、説明のみに終始しており実践的ではなく感じてします。 最後のパーセプションフローも突然、出現しておりそれ以前の内容と合わず、困惑する。 かなり散文となっており、マーケティングについて書かれているのに目的の一貫性に欠ける印象を受けた。

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さんの書評2020/08/29

ミライの授業 (日本語) 単行本(ソフトカバー) – 2016/7/1

ミライの授業 (日本語) 単行本(ソフトカバー) – 2016/7/1 瀧本 哲史 (著) エンジェル投資家として有名な著者が示した”14歳に向けたミライの授業” その意義は冒頭のこの言葉に集約されている。 ミライを予測する最善の方法は、それを発明することだ。 アラン・ケイ そして、以下の法則に従った歴史上の人物の事実を突きつけてミライの授業を行う。 法則1 世界を変える旅は「?」からはじまる 法則2 冒険には「?」が必要だ 法則3 一行の「?」が世界を変える 法則4 すべての冒険には「?」がいる 法則5 ミライは「?」の向こうにある 14歳を対象とした内容であり、平易な言葉を使って普通の義務教育を受けてきたものにとっては初見の人物もおり、既知の人物であってもその背景や、重要な仲間については知らないことが多く、面白い授業を受けた感じがする。 ここまで著者の本を3冊読んだが、彼の考えは本当に未来志向である。 未来を憂うのではなく、未来を創るために今何が出来るのか?自分の仲間を増やし、世界がより豊かになるためにはどうすれば良いのか?それぞれの本に隠喩されている。 本は読者によって評価されるが、読ませる内容も重要だが読ませてどのように行動してもらうのか? 著者は突き詰めている。 文学賞を取るのではなく、未来を取るための行動である。 そのために自分が持っている知識や考えの背景を、読者にわかりやすく伝えるために既存の本や人物を示し、注目すべき箇所を例示し、未来を切り開こうとしているのが感じられる。

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さんの書評2020/08/29

読書は格闘技 (日本語) 単行本 – 2016/4/26

読書は格闘技 (日本語) 単行本 – 2016/4/26 瀧本 哲史 (著) この本は著者の「本を読む意味」を事例を示しながら、まさに格闘した結果を示したものである。 著者はよく尋ねられる「オススメの本は?」に窮するあまり、自分にとっての本の定義を押し付けるのではなく、事例を示し、そこに出てくる本をオススメとしている。 そこに記されている内容は、事例として挙げられた本の内容以上に著者が解説を加えており、読み手はより深い予備知識を得られ、事例の本に惹きつけられる。 本は書かれている以上の背景や知識があるとこれほどまでに豊かになるのかっと気づかされる内容である。 つまり、著者の考えが冒頭に凝縮されて記載されているが、ドイツの哲学者ショウペンハウエルが読書を批判的に捉えた「読書は、他人にものを考えてもらうことである。一日を多読に費やす勤勉な人間は、次第に自分でものを考える力を失っていく」に対して、格闘を挑んでいる。 そうではなく、「読書は入り口であり、そのあとに戦うのだから大きな意味がある。」と そのため著者が読んだ本の中で、わかりやすく対比された本を紹介し、それぞれの基準値からみた内容の精査によって、読むだけではない、本当の読書の重要性を説いている。 そこに出てくる本は対比されたものだけでなく、多くのものが例示されている。 著者の幅広く、示唆に富んだ批評は、時に勉強になると同時に批判が出来ない自らの無教養を自覚してしまう冷や汗ものだが、自分の好きな本がなかった時点でリングにも上がれず、批評もできないので難しさも感じる。

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さんの書評2020/08/10

戦略がすべて (新潮新書)

戦略がすべて (新潮新書) 瀧本 哲史☆3 恥ずかしながら筆者の名前は最近になってから知った。 もう存命ではないこと。エンジェル投資家であること。京大で教鞭をとっていたことなど 最新の著書である「2020年6月30日ここで会いましょう」を冒頭だけ読んで、興味が湧いてきたので読んでみた。 最近、仕事内容が大きく変化し、戦術、作戦などは思いつけど、戦略まではまだリーチできていない現状を鑑みて、戦略を練るためのヒントを得ようと 結論として、脈絡がない構成となっており、戦略のベースになるような思考訓練があるわけではなく、筆者が思いつく戦略をつらつらと記載している内容であった。 無益かと言われれば、なぞるだけでは無益である。 しかし、これは筆者にとっては不本意だろう。 この著書にも記載されているが、自分の中で反証をしなければ意味がない。 本来であれば、気になったところに関して反証をして自分の中での戦略を練るべきであるが、以下の理由から行わなかった。 ・挙げられた事例に興味が持てない点 ・あくまで戦略は未だに生活に根付いているわけではなく、仕事であり、それに近い事例がなかった。 一方、興味深い点としては、「なぜ、現代の出版物の中で教養が注目されているのか?」について論じている箇所は面白かった。 曰く、情報過多になりがちな現代人にとって、情報は取捨選択をしなければならず、自分の好みを選択していると、ともすればタコ壺化し視野が狭くなり、自らの可能性を閉ざしてしまうので、情報消費社会の反動としてのブームであると 教養のひとつの機能は、アラン・ブルームの言葉を借りれば「ほかの考え方が成り立ちうることを知ること」にある。つまり、情報の爆発と防衛による蛸壺化を経て、失われた普遍性を取り戻そうとする動き、これがすなわち「教養」ブームであると ある意味では納得するが、果たしてそうだろうか 教養は個人にとって定義がバラバラであり、一括りにはできず、それこそ著者が最も関係性が深いビジネスマンなどは哲学や思考についてなどのビジネスシーンに役立つものが教養として 一方、そのほかのものにとって教養と言われると、英語や資格取得も教養になるだろう。 それは情報の蛸壺化とは異なるベクトルであり、普遍性ではなく、不安を解消するために具現化したもの(教本)を手元に置きたいと言う、将来に対する不安の表れなのだと考える。 この教養をブームと捉えるのではなく、漠然とした不安の表れであると見た方が戦略を立てやすい。 結局、本書は自分の戦略の道筋を記載したもので、すべてを戦略として落としてはいない点が散見される。 他の著書も借りてきたので、更に著者の考え方を知ろうと思う。

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さんのコメント2023/05/31

100点満点 素晴らしい内容であった。 ほとんど言及することがないくらいの内容で芯を食らう文節が続く 一言でいえば、まさに感服。 始めはなぜこの本を借りたのか、わからなかったが序章ですぐにこの本の重厚さに気づかされた。 豊かさとは? 我々人類は進歩を続けたと言われるが、なぜ進歩したのか? 当たり前のこと過ぎて素通りしていた疑問を唐突に、しかし強力に提示する。

さんのコメント2017/04/16

教える技術 行動科学を使ってできる人が育つ 「叱る」際のポイント 人格や性格を叱ることは間違い 「どうしていつもモタモタしているんだ」「そんな性格だから売れないんだ」など人格や性格を叱ることは間違い あくまで焦点はその人の「行動」 ・やらなければならないのに、やらなかった行動 ・やってはいけないのに、やってしまった行動 実行してほしい行動は、具体的な表現で説明し場合によっては具体的な改善策やアイデアを与える。

さんのコメント2017/03/18

社会人になってもちゃんとした意味を理解しないために使用を控えてきた言葉の成り立ちから漢字の意味を知ることができ、有益なものであった。 以下にいくつか列挙する。 幾重にも御礼申し上げます。 ご隆昌の段、慶賀の至りに存じます。:言祝ぎ:ありがたい素晴らしいことがたくさん次々と起こりますよう 敷衍:抽象的なことを具体的に話す。 忖度する:相手のことを推し量る。 あまつさえ:そのうえ、驚いたことに、あろうことか いみじくも:まことにうまく、適切にも、巧みにも、まさに、よくも 縷説する:よく言えば「丁寧」、悪く言えば「くどい」 雅致がある:趣がある。

さんのコメント2016/11/05

基本的なことではあるが、非常に有益であった。 特に実際の事例を元に流れや、その理由を丁寧に説明し、思考の整理を行うのに重きを置いているので、紹介されている業種以外であってもすぐに自分の仕事に落とし応用できるようになっている。 別段、究極のメソッドや解決策を幇助しているわけではなく、一般的であり、且つデキる営業は自然と行っていることではあるが、平易な営業だけでなく、研究、間接部門などBtoBに関わる全ての業種において思考の整理や行動の改善に向けて十分に得るものがあると思う。 特に”主語を「あなた」の二人称にする”は自分でも希薄になっていたと感じるものであり、自分の仕事を振り返り、修正すべきところがあると感じた。