さんの書評2018/01/01

歴史、教義、診断、治療、薬草ときちんと体系づけられた本格的な教科書

体裁はイメージ写真を多用した雑誌のようなゆるい印象だが、中身は歴史、教義、診断、治療、薬草ときちんと体系づけられたアーユルヴェーダの本格的な教科書である。
小さいが400ページもある分厚い本で、しかも解説にもほとんど冗長さがないので内容はたいへんに濃く、これを全部理解するのはたいへんだろうな、と思う。
本書を読むと、医学は自然(あるいは宇宙)の一部としての人間存在への理解の仕方と密接に関わっていて、本来的に切っても切れないのだということが良くわかる。
そこが医学が「教義」たる所以であり、また迷信やオカルト、インチキとの接点にもなる。
近代医学は誰にでも検証可能な科学的正しさのみを「教義」にすえることで、確実に治せる方法として発展し、人類に貢献した。
しかし、治しはしても癒しはしない。
しかも、人には寿命があるから、いつかは治せない病気になる。
近代医学には科学以外の教義がないから、治らない患者を救うすべはない。
そこが「教義」から人間存在への理解を外してしまった近代医学の限界だろう。
一点、アーユルヴェーダの古典について疑義があり、紀元前800年のアートレーヤ、紀元前700年のチャラカ、紀元前600年のスシュルタ、という記述は類書と全く異なる。どれが正しいのかよくわからないので、もう少し調べてみたい。

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