さんの書評2018/01/09

「女性に限って」座り過ぎは寿命を縮める、とすべきかも?

座位時間と総死亡リスクの間にはなにがしかの関連がありそうだ、という疫学的研究が多数紹介されています。
が、なぜ座り過ぎると寿命が縮むのか、そのメカニズムについては不明。
疫学の弱点はどこまでいっても観察しかできないことで、条件を厳密にコントロールできないからほんとうのところ、なにが起きたのかはよくわからない。
アンケートといっても、昨夜何を食べたのかも忘れるような人はたくさんいるわけで、100万人を20年間調べました、といったところでそもそもデータの信頼性が高くはない。
座位行動と寿命にはっきりした医学・生理学的因果関係があるなら、100万人もしらべる必要はありません。
10人調べて結果がでないなら、それは仮説が間違っているということです。
65ページにイギリスで1万人を対象に13年間調査した結果、というのが紹介されていて、これが如実に語っていますが、女性は確かに立位の総死亡リスクが32%低い。
しかし、男性はほとんどかわりません。立っても座っても死亡リスクは同じです。
なので、この調査結果を信じるなら、「女性に限って」座り過ぎは寿命を縮める、とすべきです。
しかも、心血管疾患で死亡した死亡した女性は、立位の方が1.5倍も高い。
なので、もっと正確にいうなら、「心臓や血管が丈夫な女性に限って」座り過ぎは寿命を縮める、となって、どんどん変なことになってしまいます。
結局、なにも説明したことになっていない。事実かどうかもわからない。
とはいえ、ちょこまか動いていたほうが少なくとも筋や腱は固まりにくいので、30分おきに1,2分身体を動かすのは悪いことではありません。
動物としては筋肉が柔らかい方が生存には有利だ、ということも自明ですから、健康法としては「ちょこまか動く」は成り立つんだと思います。
しかし、いまの段階でいえるのはその程度。寿命云々はやっぱり言い過ぎかな、と思います。
全体として健康バズワードっぽい印象は拭えませんでしたが、それなりに勉強にはなりました。

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