さんの書評2017/10/18

かい巻きの縫い方が載っている数少ない和裁の本です

四十年くらい前の本ですが、文字が小さい事を覗けば和裁の全てが掲載されている本かもしれません。 他の和裁本にはなかなか載っていないかい巻き布団の作り方が知りたくて探したのですが、布団の作り方が座布団だけでなく敷き蒲団、掛け布団まで掲載されているのがスゴイです。昔から使っているかい巻き布団の綿入れの補修をするための参考にならないかと思って借りてきましたが、役にたちました! それ以前に、和裁の縫い方の説明がとても詳しかったです。今は違う呼び名になっている縫い方もありました。祖母の縫ったかい巻きの裏当てをほどいた時に気になったいろいろな布の押さえ方や繰りかた、糸のつなぎ方や木綿と絹の使い分けの違いがよくわかります。 今の手縫いの本には載っていない縫い方がたくさん載っていたのも面白く読みました。自分で手縫いするとき、しつけがどうにもうまくいかず、最近の本にはしつけの仕方自体がちょっとしか載っていなくて気になっていたこともよくわかりました。昔の本には失った技術が載ってるものですね。それらは今は別に使わなくてもいいことかもしれませんが、ちょっとしたコツを知っているだけで布の傷みやこすれ、縫っている間のズレや強度が変わるんだなぁと思いました。 結構分厚い布も和裁はぐいぐい手で縫いますものね。 服を作る時にいつも、使っているミシンの調整がうまくいかず、毎回縫う前にうんざりして縫うのが嫌になる事も多く、最近作る時は手縫いで行っております。ですが、ミシン縫いを手縫いで縫う時に問題になる縫い目の強度と布端の始末は和裁の技術を参考にするといいのかもしれません。 手縫いは布地に負担がかからないというのは確かにそうで、夏のパンツを三枚、手縫い2ミシン1で作ったのですが、手縫いパンツの方が縫い目がほどけず、丈夫なので実感しております。 かい巻きの修復は上手くいきそうで、この冬の使用に間に合いそうです。 今度は数年前から懸案だった丹前を作りたいと思っております。

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