さんの書評2017/11/11

東京五輪後の日本経済

東京五輪後の日本経済

元日銀審議委員である白井さゆり著書
日銀総裁黒田氏が進めている経済施策「異次元緩和」、俗にいう「黒田砲」に市場が沸き、円安、株価の続伸が引き起こされた。
当時、民主党のハトポッポに始まった市場の冷え込みに対して、これらの施策により現在の日本経済は良くなったと思われる。
ただ市井の者にとって、何が異次元なのか?なぜ、株価の上昇に伴った実生活への実感が少ないのか?を丁寧に説明されている。
その中で「デフレマインド」と言われている日本特有と思われる曖昧な言葉の定義と、そこから導き出されるデフレマインドの意味が非常にわかりやすい。
そして、異次元緩和がどれほど異次元なのか?何が異次元なのか?が非常にわかりやすい。
世界的に見ても日本株式市場がどれだけ異常か?本当に異次元と化しているのか?読後に心底ぞっとした。
それは日銀のバランスシートなど普段は見ることはない実際の数字を用いた客観的なもので東京五輪後と銘打っているが、その前後に起こるであろう可能性はこの本を読むまで漠然とした不安であったが、確信へと変わる銘書である。
また日本だけでなく、中国、アメリカ、EUについても丁寧に書かれている。
ブレグジットが起こった時、なぜイギリスのシティが微動だにしなかったのかも説明されている。
それらは独自の視点だけでなく、海外の要人や専門家たちの意見も含めてあり偏りが少ないもののように感じる。
更にヘリコプターマネー、シムズ理論なども紹介しており、どのように日本経済を救うのか?についても論じられている。
以下、この本の中で気になった部分を抜粋する。

東京五輪後、再び金融危機はやってくるのか?
これまで起こったのと同じパターンの金融危機は、二度と起こりません。
但し、新たに金融危機が起こる場合、そのパターンはこれまでに見られなった「予期せぬもの」になる。
東京五輪後の不動産価格は日本の人口減少も伴い、決して明るいものではない。
2013年頃から不動産価格が上昇に転じたのは、日本銀行の大規模な金融緩和政策と東京五輪開催決定が重なったからです。
東京五輪後に、これに代わる好材料が現れなかったとすれば、その後何年にもわたって不動産価格が低迷し続けたとしても、不思議ではないのです。

日本の株価が「実力ベース」となるとき
企業のコストカットの努力にも当然限界があります。また、為替については、東京五輪開催前後にかけて、いったんは円高方向に触れる可能性があります。
こうなると、日本の株価には「日銀の退場」「企業のコストカット努力の限界」「円高」という「三重苦」が襲うことになります。
つまり、為替相場は近い将来、「インフレ率の差」「経常収支の差」に「日銀の退場」という円高圧力の要因も加わり、ここでも「三重苦」に襲われる可能性が高い。
2030年には政府債務は対GDP比で300%を、2040年には400%を超える。
この時、懸念されるのが「円の大暴落」という事態です。
しかし、それは少なくとも今すぐには「起こりにくい」と考えています。
なぜなら、日本人はきわめて「ホームデバイス」(資産を日本円、あるいは円建ての資産形成している)からです。

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