さんの書評2017/12/30

いったいどうやって、人は時の流れを知覚するのか

あっというまに一年が終わる、というのは年齢を重ねると誰もが経験することですが、その答えが書いてあるのかと気軽な気持ちで手に取りました。
しかしこの気軽な問いへの答えは実に奥が深くて、正直、面食らいました。
本書で指摘されて初めて気づきましたが、「時間」を検知する感覚器は人間にはありません。
時が流れるといっても、光や音、匂い、味、温度、圧力、重力などと違って、物理量を測っているわけではない。
となると、いったいどうやって人は時間(の経過)を知覚しているのか。
本書はこの問いへの答えを物理学、生理学、実験心理学、社会学、経済学など幅広い学問分野の研究成果を紹介しながら解明していこうとします。
ひとつひとつのトピックは興味深く、知らないことばかりでたいへん勉強になりました。
が、シンプルに「どうして、年を取るとあっというまに一年が終わるのか」について、納得いく解はなし。
ひとつだけ、しょっしゅう時計をみていると時間が遅く感じる、という実験結果があって、著者によればこれがいちばん近いんじゃないか、ということです。
こどものころは待ち遠しいイベントがたくさんあるので時間の経過を遅く感じる。
おとなになると、そういう楽しいイベントはたくさんはないので、その分時間の経過を速く感じる。
そういうことのようです。
しかし、これにしても時間経過のレンジはせいぜい一日、一週間、ひと月くらいでしょう。
まさに「あっ」というまに一年が終わる、という感覚の説明には、もうひとつ何かが物足りない気がします。
とはいえ、たとえ寿命が伸びても、一年一年が一瞬で終わってしまうなら、意味があるとは思えません。
試しに、来年はカレンダーにできるだけたくさん、楽しいイベントを書き込んでみようかな、と思いました。

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