目次
親と先生のためのまえがき
第1章 さあ、海賊船の出発だ!
第2章 望遠鏡から目をはなそう
第3章 船のかじをきろう
第4章 船を操縦しよう!
第5章 いかりを上げよう
第6章 荷は軽く!
第7章 だれかにしっとされたら……
第8章 バランスをうまくとろう
第9章 自分を大切にしよう
第10章 きみならできる!
前書きなど
親と先生のためのまえがき
嫉妬は人間の感情のひとつです。だれでも、たとえばほかのだれかが持っている大きな家や車や、だれかが過ごした素敵なバカンスなどをうらやましく思うことがあるかもしれません。職場で上司がだれかをひいきにしているときや、友だちがほかの人と親しげにしているときなどにも、嫉妬心を持つことがあるでしょう。子どもも同じです。子どもはしょっちゅう、さまざまな状況で、人をうらやんだり、ねたんだりすることがあります。大人はそういう欲求や嫉妬が、永続的なものではないことを知っていますが、子どもにはそれがまだわかりません。
子どもが嫉妬するのは、自分が欲しいものをほかの子が持っているということに、焦点を当てすぎてしまうからです。そして人の幸運に対して、不適切な対応をしてしまいます。子どもは、親や先生や友だちに注目されたいと思うものです。また、欲しくても手に入らない経験や、人から注目されるかどうかなどによって、自分のアイデンティティが左右されてしまうと考えがちです。そしてまた、子どもは自分が嫉妬していることに気づかないで、激しい行動をとったり、かんしゃくを起こしたり、問題行動を起こしたりすることもあります。あるいは、あきらめてしまい、向上心をなくしたり目標を達成する気をなくしたりしてしまうこともあります。嫉妬は、家族や友だちとの関係にも影響を与え、自尊感情を低下させてしまうこともある困難な感情です。こうした問題が嫉妬のせいなら、親はどうすればよいのでしょうか。
この本では、嫉妬を生みだす考えに子ども自身が気づき、嫉妬をなくしてしまうことはできなくても、そのパワーを弱める考え方ができるような手助けをしていきます。考え方が変わると、必然的に感じ方や行動も変わります。練習すれば、子どもでもより現実的に考えられるようになるでしょう。すると、嫉妬心でうろたえて道を間違えることが少なくなるのです。
(…後略…)