紹介
岩松了、初めてのエッセー集
タバコとパチンコ/タバコといえば思い出す/タバコ供養の日/ヘビースモーカー/ヘビースモーカーへの一通の手紙/ハイライトを喫う女/五万円と二百円/嗚呼パチンコ/五万円負けた日のこと/純朴とは/スズメと牛と恋/手紙をくれた女/ロールスロイスの運転手/あとひとり/四谷美談/結婚した?/外人の友だち/私を救った男/本気/普通免許持ってます?/天気待ち/D・ボウイの『スターマン』/その一枚サービスしとくよ/名前いろいろ/電車の中はクイズだらけ/不眠症の夜明け/「秀吉」の暗躍/とんだ冗談いやあ参ったの巻き/さまよえる不動産業者/或るお父さんの生態/父親を知らぬ娘?/「伝える」ということ/「わからない」ということ/年の瀬の情緒不安定/わがままも時には感動を誘う/舞台袖という舞台/万歩メーター/風呂場でションベン/募金箱をかかえた人々/或る借金の風景/「死」とは「ビジョン」のようなもの/尾行、その正体/演劇という職業について/私が「探偵」になって言ってみたいセリフ/人間の基本「ウェイター」/教師という職業について/歌手という職業について/モノマネは不滅の職業か/鴨川に浮かんだ女/下心/地獄の主婦A/乳房への道/忘れじの人妻、あの千円/銀杏を掃く女/結びつかぬ女たち/少年ジャンプの女/自堕落な色気/年の瀬の官能/演劇へのドアノブ/つかまれた手/A子のしあわせ/夜行列車の女/マタニティな女/とても大事なこと/飲み屋に行けば/踊る女と背広の男/ここに幸あれ/誰も決めることはできない/ちょっとした自叙伝/劇作家であり演出家であること/姫錦と握手した/私はどういうことを考えながら演劇をやっているかということ/絶望あれこれ/修行について/中途半端という王道/物語ときいて思うこと/演劇の映画に対する一方的言い分/チェーホフの現代的魅力/
目次
1章●コレ抜きでは始まらない——岩松了とパチンコとタバコ
ヘビースモーカーとパチンコ
あの頃ぼくは若かった
ムキにならないで
途方に暮れて
その職業に意味あり
2章●紫煙のなかに浮かぶ幻のおんなたち——岩松了とおんなの物語
その女に罪はない
物語の女
3章●何を考えて演劇をやっているか
——岩松了と演劇ばなし
演劇にまつわる私話
物語ときいて思うこと
あとがき——想像力という言葉をめぐって
前書きなど
初めてのエッセー集ということになる。したがって、と言うべきか、中には十年以上も前に書いたものもある。だいたいエッセー集なるものを出版するなど思いもよらないことだったから、保存と記憶に欠落があり、それでもスタジオ・ポットの方の人力のおかげで、いわば己れの過去の恥部まで掘り起こしてもらった。
エッセーというものが、どういう定義を与えられるものかよくはわからないけれど、もしそれに「つくりごとでないもの」という面があるとすれば、中には、エッセーとは言えないものも含まれています、と言っておこう。たとえば、私は未だに車の免許を持ってはいない。なのに、車を運転してるようなことを書いたりしている。要するに嘘なのだ。
「読みましたよ」と言われた時、手をヒラヒラと振って、
「あ、あれ、嘘、嘘」と言いたい気持ちがどこかにあるのだろう、と自分では思っている。