前書きなど
……『一握の塵』は一九八八年に映画化され、日本でも一九八九年に『ハンドフル・オブ・ダスト』という題名で公開された。監督はチャールズ・スタリッジ、主人公トニィにジェイムズ・ウイルビィ、ブレンダにクリスティン・スコット・トマス、ジョン・ビーヴァにルパート・グレイヴズ、ビーヴァ夫人にジュディ・デンチ、ラタリィ夫人にアンジェリカ・ヒューストン、トッド老に名優アレック・ギネス、という豪華な配役である……
「『一握の塵』は現代小説の最高傑作のひとつだ」(ウォルター・アレン)
……この作品においては、ウォーの傑出した才能である描写力、ヒューマー、風刺、哀感などが、過不足なく絶妙なバランスを保ちながら全体に融合し、統一されている。
……処女作『衰亡記』や『黒いいたずら』では悪ふざけが過ぎているし、『ブライツヘッドふたたび』ではいささか感傷が過剰であるように思う。……」(「訳者あとがき」より)