目次
はじめに
PART 1 熱
熱とは何か
熱性けいれん
恐れられている二つの病気
「行動」がいちばんの指標
治療
よくある熱の原因
こんな症状は要注意
熱射病
長く続く微熱
PART 2 便秘
六カ月未満の赤ちゃん
六カ月以上の子ども
治療
PART 3 せき
冬のせき
治療
呼吸の木
呼吸の木のてっぺん
前書きなど
実はこの本は、しばしばくどいといわれるぼくの本よりも、もう一段くどいのです。
しかし、くどいだけのことはある、真に有用な本だと重ねて言っておきます。
ただ、アメリカと日本の事情の違いはいろいろあります。たとえばアメリカで病院にかかるのは、子どもの病気が相当重いときで、軽い場合はたいてい家庭で治してしまうようです。アメリカの薬屋さんには、日本だと病院にしか置いていないような薬もいろいろ置いてあるので、それを購入して家庭で飲ませるということも多いのですね。それでこの本にも「○○という薬を飲ませなさい」という記述がいくつもあったのですが、この本では日本の事情にそぐわないものは削除しました。
また、日本では赤ちゃんの「夜泣き」が多くの親を悩ませますが、欧米の育児書ではほとんど取り上げられません。それは生後数カ月で赤ちゃんは親と別の部屋で一人で眠るという習慣が欧米にはあるからのようです。別室にされたあと、一週間ぐらいは大泣きする赤ちゃんもいるようですが、そこを過ぎると赤ちゃんはあきらめて一人で眠るようになるのですね。ですから夜泣きということが起こらないらしいのです。
そのかわりに「宵泣き」というのがあるらしいのです。この本の中では「コリック」として出てきますが、このコリックは日本ではあまり見られません。アメリカではイブニング・コリックといって、夕方、激しく泣くことを繰り返す子どもがいるようなのです。これはアメリカではふつうに見られるもののようですが、日本ではほとんどお目にかかりません。
こうしたこともありますから、いくつか気になるところには、ぼくがコメントをつけました。また、必要なところにカッコ内に*印で訳注をつけました。
そのうえで重ねて言います。この本は日本のみなさんにもとても役に立つ本です。
この本を読むと、熱やせきといったよくある症状から、どんな病気が考えられ、今がどんな状態か、親は何をしたらよいのかがわかります。子どもに何かの症状が起こったときに「ちょっと待てよ」と、チェックリストを開いてみてもいいし、時間のあるときに気になる章を読んでみてもいいでしょう。赤ちゃんから小学校にあがる前後の子どもたちによくある症状を見極めるのに、きっと役に立ちます。
(山田真/「読者のみなさんへ」より一部抜粋)