目次
序 文 マスキュリニティ、二十世紀、表象 熊谷謙介
第1章 表現主義のマチズモとアウトサイダー性 西岡あかね
1 「男性の運動」としての表現主義
2 アルフレート・ヴォルフェンシュタインの「男」の詩学
3 女性の表現主義と「男性性の危機」の言説
第2章 新しい男の誕生?――ダダにおける「新しい人間」のマスキュリニティ 小松原由理
1 一九一九年――女たちの年、あるいは男たちの危機?
2 「ゴム男になりなさい」――跳ねる男、踊る男、殴る男
3 マッチョな紳士、あるいは男性ダダイストの理想の身体
4 男性性の攪乱?――女装、両性具有、キメラ男
5 ハウスマンのモード論――「新しい男」のためのファッション
6 再びの軍服化?――「新しい男」のゆくえ
第3章 洪深のアメリカ留学体験――自伝における人種差別・恋愛、そして演じること 中村みどり
1 中国の近代化と留学生たち
2 前半生――アメリカ留学と演劇、父の死
3 自伝の記述――離婚・人種差別・恋愛
4 中国人留学生のアメリカ体験――胡適・聞一多との比較
5 アウトローとしてのアメリカ留学体験と創作
第4章 男らしくない西部劇小説『シェーン』――冷戦期アメリカの核/家族 古屋耕平
1 カウボーイと家庭
2 カウボーイと原子爆弾
第5章 「人間らしさ」への道、「男らしさ」への道――ラルフ・エリソン『見えない人間』 山口ヨシ子
1 実体がない黒い身体
2 「不定形な黒きもの」としての「僕」と「マン」の仮面をかぶった「もの」たち
3 南部出身の黒人男性としての自己確立と「人間らしさ」への道
4 「男らしさ」への道、そして「見えない」女性たち
第6章 母、マジョリティ、減退する性――ロマン・ガリと男性性 熊谷謙介
1 母と息子――『夜明けの約束』
2 強者の男性性、弱者の男性性――『ホワイト・ドッグ』
3 性の減退――『ここより先チケットは無効』
第7章 飛ばなかった王子――マシュー・ボーン版『白鳥の湖』にみる男性性と現代社会 菅沼勝彦
1 マシュー・ボーン版の登場
2 男性性のあり方を問う時代に
3 男性「白鳥」とは誰か
4 「白鳥」の舞いに魅せられて
5 幻想の裏切り
6 「成長」の失敗と母性
第8章 現代美術にみる狩猟と男性性――おとぎ話文化研究の視点から 村井まや子
1 「男らしい」狩猟
2 「赤ずきん」の猟師はどこから来て、どこへ行くのか
3 剥製が語るアメリカの自然史――エイミー・スタイン「飼いならされた(Domesticated)」シリーズ
4 オオカミとともに――鴻池朋子「インタートラベラー」カンザス大学自然史博物館展