目次
はじめに
第1章 迷宮の地図を描く──ファンタジーをどう読むか
1 ファンタジーとは何か 多種多様なファンタジー ファンタジーというジャンル ファンタジーのサブジャンル 戦後日本ファンタジー小史
2 ファンタジーをどう読むか 「空想的なもの」の成り立ち ファンタジーと社会的現実 ジェンダーの問題 「読み解く力」を養うこと 「フェミニスト・ファビュレーション」としてのファンタジー 想像力から創造力へ
第2章 「男装の麗人」たち
1 「男装の麗人」の類型学 ファンタジーのなかの「男装の麗人」 「男装」の意味 『リボンの騎士』のサファイア王子 『ベルサイユのばら』のオスカル 現代の「麗人」たち 「男装の麗人」の四類型
2 ファンタジーの「古典」における「男装の麗人」 『指輪物語』と「グイン・サーガ」 『指輪物語』──「盾持つ乙女」エオウィン 「グイン・サーガ」──「男装の麗人」諸類型の総登場 「男装の麗人」たちは孤立している
第3章 「戦う女性」たち
1 ファンタジー世界の「戦う女性」たち 「男装の麗人」から「戦う女性」へ 性暴力との戦い──マーセデス・ラッキー『女神の誓い』 男のいない女たち──ひかわ玲子「エフェラ&ジリオラ」 居場所を求めて──小野不由美「十二国記」の中嶋陽子 三つの作品の比較
2 女性たちはなぜ「戦う」のか 過酷な現実との戦い──アメリカ・ファンタジーの「戦う女性」 内面の葛藤──日本の「戦う女性」たちの内なる敵 個人からシステムへ──「戦う女性」という「しくみ」の試み
第4章 ファンタジーのなかの家族
1 散乱する家族──ファンタジー世界の家族像(1) 「家族」という問い 「ハリー・ポッター」と「ベルガリアード物語」──おとうさんがいっぱい 父の名、母の愛 複数化する父、単数の母
2 別種の家族──ファンタジー世界の家族像(2) 「パーンの竜騎士」──大巖洞と城砦の社会体制 「ダーコーヴァ年代記」──ポリガミーの要請 「十二国記」──特異なセックス/ジェンダー・システムと家族の構成原理
3 「開かれた家族」へ 「近代家族」の概念と現代ファンタジー 「近代家族」の抑圧的性格 ファンタジーのなかの家族の布置関係 現実の家族/ファンタジーの家族
4 家族をめぐる地図おわりに──そして、ジェンダーのファンタジーへ
付録 ファンタジー作品紹介