紹介
◆第一句集
蝉捕れぬ日は空蝉を子に与ふ
蝉が捕れなかった日のために、あらかじめ用意したのだろうか。「溺愛」をさりげなく表現。
豆飯の翡翠の玉を舌の上
初ものの豌豆の美しさを宝石色になぞらえ、舌の上で楽しんでいるところ。
魚になりしかかいつぶり浮いて来ず
潜って魚を捕ってるのが得意な鳰。もしかしてと童心に返って浮くのを待っている。
俳句は“子供の心で、大人の表現”であることを実践しているのが著者である。
(帯より・鷹羽狩行)
◆作品紹介より
豆撒くや鬼はいづこと孫の問ふ
門松の切り口の鋭き夜明けかな
てふてふを追ひて駆込み寺の中
鯉のぼり目をみて話すこと教へ
春寒や竹人形の鬼女の舞
里山のくろぐろと寄せ秋の暮
聴衆の咳をさまりて二楽章
たんぽぽや校門までのかけくらべ
仏壇の鶯餅のいつ鳴くや
大花野迷ふてみたくなりにけり
目次
序句・鷹羽狩行
春 5
夏 39
秋 75
冬 101
あとがき