目次
はじめに
第1章 これで「三つ子の魂」が分かります
1 三つ子は3歳ではありません
2 これが科学の教える「三つ子の魂」です
3 産まれる前から魂は育っています
4 産まれた時から自立は始まります
第2章 だから抱っこは大切なんです
5 赤ちゃんは「抱っこされては離されるサル」です
6 おっぱいと抱っこ、そしてコミュニケーションは欠かせません
7 抱く子は育つが、育つと抱かれなくなります
8 抱かれた子どもが抱く親になるのです
第3章 夫婦の協力が魂を産み育てます
9 父親が子育てする動物が人間なのです
10 夫婦円満が子育ての基本です
11 母性と父性を考え直しましょう
12 良夫賢父が家庭を支えます
第4章 傷ついた魂を救うのは、やはり魂です
13 苦しみ続けた有名人:まずはマイケル・ジャクソンから
14 不幸な生い立ちの小説の主人公から人生を学びます
15 かけがえのない人の支えが魂を救うのです
16 あらためて「三つ子の魂百まで」を知るために
おわりに
前書きなど
はじめに
(…前略…)
まず第1章では、「三つ子の魂百まで」を説明するために、ことわざに込められた先人の知恵と現代科学の知識を取り上げます。そして、「三つ子の魂」を分かりやすく示すために色んな人の語りを紹介します。また、三つ子までですべてが決まるのではなく、その後の経験や人間関係の中で様々な能力が育ち、性格が決まっていく様子を紹介します。
次の第2章では、産まれつき備わっている赤ちゃんの特長を説明します。中でも、おっぱいと抱っこは、哺乳類で霊長類でもある人類が数千万年の年月をかけて進化してきた過程で備わった、生きる上でなくてはならないものです。そして、人間の赤ちゃんは高い感覚能力と豊かな社会性を持っていて、産まれたときから人の顔と声に関心を向け、目の前の人の表情をまねしますし、泣いて親を呼び、抱かれるとほほえんで親の心をひきつけるという、他の動物に見られない高いコミュニケーション能力を備えているのです。これらの能力の中でも特に、赤ちゃんに安心感を与える抱っこを通して「三つ子の魂」が育つ様子やスキンシップが大切な理由を説明します。
続いて第3章では、夫婦が協力して子育てする根拠と意義をお話しします。人間のお産は哺乳類の中で一番難産ですし、長い妊娠期間を過ごすのも大変です。そんな困難な妊娠と出産を終えて、一人では生きられない赤ちゃんを抱えて、手のかかる育児をお母さん一人だけで行うのはとても無理なので、人類は父親という存在を作って、家族が協力して子育てするように進化しました。ですから、育児の基本は“夫婦円満”です。
しかし、日本社会の現実は「父は仕事、母は家庭」の生活を送る中で、仕事にほとんどのエネルギーを使ってしまうお父さんを横目にして、お母さん一人が育児しなければなりません。多くの家庭では周囲に助けてくれる人も相談する人もいない状況で、特に専業主婦は子育てに強い不安を抱いています。ですから、仕事に追われるお父さんであっても、帰宅したら10分でも子どもと関わり、お母さんを支えて夫婦の絆を強めてもらいたいと願います。また、共働きの家庭では、保育園への送り迎えや家事と育児で、夫婦二人の協力と役割分担が一層大切になります。きびしい子育て環境の中でがんばるお母さんとお父さんが、少しでもよい状態で子どもに向きあえるよう、ほど良い育児によって健全な「三つ子の魂」を育てれば、その後の育児はそんなにむずかしくないのですよ、と本を通して伝えていきます。
繰り返しますが、「三つ子の魂」は人生80年の間、影響を与え続けます。最後の第4章では、幼少期に健全な魂を育てておくのが人の生涯にとっていかに大切かを伝えるために、親の愛情をもらえなかったり、きびしくしつけられて「三つ子の魂」が傷ついてしまった人たちが、その後どんなにつらい人生を歩んだかを、有名人や小説の主人公に探ります。誤った子育てによって傷ついた魂を持つ人が、いかに苦しい人生を歩んできたかを知って、親として二度と同じ過ちを繰り返さないように子どもと関わっていただきたいのです。その一方で、とっくに三つ子を過ぎた傷ついた魂であっても、その後に出会った人たちに支えられて、幸せな人生を送っている実例を紹介します。
(…後略…)