目次
序文
はしがき
謝辞
はじめに:自殺の歴史
本編[A-Z]
〈付録1〉主要関連団体・組織
〈付録2〉世界各国の自殺率
参考文献
監修者あとがき
索引
前書きなど
はしがき
自殺は、悲劇的であるとともに予防の可能性のある公衆衛生上の問題であり、現在、アメリカにおける死因の第8位を占めている。アメリカ人10万人あたり約11人が毎年自殺をし、それ以外に60万人以上が自殺を図って病院の緊急治療室で治療を受けている。
アメリカ人の多くは、都市の暴力や殺人こそが国として最も差し迫った問題だと考えている。だが大方の人が気づいていないのは、新聞の紙面は殺人に関する記事で埋め尽くされているように見えても、実際は自殺による死者の方が殺人によるものより1.5倍も多いということである。特に高齢者と少年少女にそのリスクが高い。
2002年5月、公衆衛生長官デイヴィッド・サッチャーは自殺問題と闘うための全国的なキャンペーンに着手し、学校や職場、刑務所、高齢者介護施設、地域の活動グループなどで自殺予防プログラムを作成するよう求めた。
本書は広範囲にわたる自殺関連用語や、補足的な情報、およびこの問題に取り組む組織の連絡先に関する、手引きとしてまた参考書として作られている。つまり、危機管理やうつ病、自殺企図あるいは自殺行動の診断などについて教育を受けた、専門家による迅速な評価や治療の代わりになるものではない。
この改訂版では、最新の研究や統計に基づき、当分野における最新情報を掲載することに努めた。自殺と法律、医師による自殺幇助、死ぬ権利など、さまざまな問題での新たな展開についても取り上げている。州ごとの、また国際的な統計もすべて、最新のものに改めた。
加えて本書では、可能性が指摘されているプロザックやアキュテインなど、ある種の薬物と自殺行動の関連についても扱っている。また、自殺した歴史上の著名人の生活史はその大部分の記述を拡充し、最近の著名人(カート・コバーンやヴィンセント・フォスターなど)の自殺に関する記述も加えた。他に以下のような項目を新たに取り上げている。
・自殺における性差
・自爆テロ
・民族性と自殺
・集団自殺
・各種の自殺(自殺のそぶり、心中、苦悩死、非生産的自殺、集団本位的自殺など)
・警官を利用した自殺
・特定の職業と自殺
・無理心中
・新たな組織
・自殺念慮調査票などの心理テスト
・校内暴力と自殺
上記のようなまったく新規の項目を追加した以外にも、ほとんどの既存の項目についても改訂や大幅な更新をして、自殺学の分野における統計や出版物、出来事に基づく新情報を加えた。同様に付録についても各種組織の住所や電話番号を更新し、新たにウェブサイトも掲載した。
本書の情報は入手できる限りの最も新しい情報源から得たものであり、その中には自殺学における最新の研究成果も含まれている。参考文献は、補足的な情報源を求める読者のために掲載している。全項目は相互参照が可能であり、また付録による情報の補足も行っている。
自殺企図が疑われたり、自殺威嚇が行われたりする場合は看過すべきではない。自殺を考えるのは単なる脅しであるとか、注意を引きたいだけだという見方は事実に反するからである。自殺威嚇は医学的な緊急事態であり、すぐにも精神保健の専門家か、緊急電話相談、あるいは緊急対応カウンセラーに連絡を取らなければならない。
キャロル・ターキントン
ペンシルベニア州クムル
ケネディー・アソシエイツ