内田裕介さんの書評 2018/02/13 1いいね!
慢性の腰痛は腰の機能障害ではなく、脳のDLPFC(背外前頭前野)の機能低下が原因である、という説をもう少し詳しく知りたくて手に取った。
福島県立医科大学が取り組んでいる腰痛の認知行動療法を紹介したもので、BS-POPという自己チェックが実践的で役に立つ。
脳内の痛みを抑える機能には、脳内モルヒネ、下行性疼痛抑制系、ドーパミンシステムがある。
これらの機能が正常に働いていれば、痛みの原因(怪我だとか病気だとか)がなくなれば痛みも消える。
しかし、ストレスや不安、うつがあると、これらの機能がうまく作動しなくなり、痛みの原因がなくなっても、痛みの感覚だけが残る。
これが、脳の機能障害による慢性痛のしくみ、だそうだ。
お目当てのDLPFCの説明はなく、生理学的なメカニズムについてはなんとなくイメージが把握できる程度で、やや不満が残る。
とはいえ、治療成果もあげているようだし、NHKスペシャルでは、慢性腰痛の60%はこの認知行動療法で劇的に改善するとの報告だったので、慢性腰痛に苦しんでいる人は自己チェックをしてみて、脳の機能障害が疑われるようなら福島県立医科大学を受診してみる価値はあるように思った。
生理学的メカニズムについては、さらに他をあたってみたい。
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